「企画出せ出せ」型マネジャーの悲劇:企画マネジメント マエストロへの道(2/2 ページ)
「企画を作る仕事」というのは本来楽しいもののはずだ。マネジャーであるあなたは、部下にハッパをかける。「俺の若い頃は毎月100本以上企画を出していたもんだ。企画が注目されればそれだけチャンスも広がるんだぞ」。少し疲れた顔であなたの部下たちは、いつものように答えるだろう。「頑張ります」と。しかし…。
最初に「利益率」ありき
実はこの高機能の商品企画は、現場のR&D部門のシーズや、営業やマーケティング部門が読み取った消費者のニーズから発想したものではなかった。低価格路線を続けても利益は出ないため、付加価値のある高機能商品で利益率を高めたいという経営上の戦略がはじめにあり、その目的のもとに商品企画を立案してもらったのだ。
長谷川氏は続ける。「シーズやニーズは、企画のもとになる重要な要素です。そのためR&D部門はシーズにこだわって発想しようとするし、営業はニーズから発想を組み立てる。それ自体は間違っていないが、目的の設定がないままシーズやニーズから企画を立てていくと、的外れな企画になりやすい。いくら画期的だったり、消費者心理を満たす企画であっても、目的を達成できなければ意味がないのです。部下に企画の提案を求めるときは、まず目的を明確にして、企画の到達点をしっかり示すことが先決です」
シーズ、ニーズをもとにギリギリ知恵を絞っているマネジャー層は多いだろう。しかしそもそもその発想が企画力を弱めているかもしれないのだ。
企画力はまず数を集めるということは大前提。しかし目的を明確にしないで数を出せといっても、部下たちはすぐに息切れしてしまうだろう。マネジャーは一呼吸置いて、経営課題をもう一度おさらいして、何が求められるかを明確にしよう。あなたが統括するチームのメンバーは、あなたの指差す方向を探している。マネジャーはオーケストラの指揮者のようなもの。演奏者としての経歴は必要ない。ハッとする企画をひねり出す、部下を育てればよい。方向を示してこそ、バラバラの個人プレイではない、チーム力を基礎にした企画創出が実現できる。そこから企画マネジメントのマエストロ(巨匠)への道が見えてくるはずだ。
関連記事
- CIOを目指すなら――業務の本質をどう見抜くか
ITコーディネータ(ITC)の取り組みはIT部門の担当者にとって示唆に富むものを多く含んでいる。それはITCが単なる外部コンサルタントではなく、顧客の業務に深く切り込む働きをしているからだ。 - スーパーマーケット発展の歴史から考える今後の小売ビジネス
- シャア専用ズゴックの一撃に沈むジムはなぜ美しいのか
- Web 2.0「企業版」はこうなる?
Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.