「ハズレ上等企画」の山でイライラするのは終わりにしよう:企画マネジメント 7つのプロセス(2/2 ページ)
マネジャーが方向性を示さないまま集められた企画は、ハズレ企画の山になることが多い。それを前にして「いい加減にしろ」と部下を怒鳴っても時すでに遅し。最初から採用されることを考えない「ハズレで上等」という空気がまん延してしまう。
「いま」を裏づけるデータが決め手
企画を立案、承認するとき、使い方しだいで大きな味方になるのが情報だ。長谷川氏は自社の情報システムの中にあるデータについての再考を勧める。
「自社に蓄積された販売実績や顧客情報は、発想のもとになったり、企画の経済性を裏づけてくれる重要なデータになります。実際、企画を支えるデータの90%は、基幹システムやCRMに眠っていると考えても差支えないでしょう」
ただ、これらのデータはあくまでも過去の積み重ねである。過去のデータを分析すれば、そこからトレンドを読み取り、おおまかな将来像を予測することは可能だ。しかし、市場は生ものであり、トレンドと微妙にずれたり、ときには逆行した動きをすることもある。それを正確に予測することは誰にもできないが、残り10%のデータを見ることによって、よりズレの少ない判断ができるようになるはずだ。
では、残り10%の情報とは何か。長谷川氏は次のように説明する。
「端的にいえば、それはスポットのリサーチです。新製品のコンセプトについて、いま消費者はどう考えているか。いまどの価格帯なら購買意欲が湧くのか。そういった具体的な項目についての『いま』の情報を企画に反映させてこそ、企画の成功率は高まっていくのです」
もちろん多くの企業が、市場リサーチを行っているだろう。しかし、最初の企画立案段階に一度行ったきりだったり、自社の顧客のみへの調査で終わってしまっているところも少なくない。できれば企画の進行に合わせて何度かスポットで調査をして、その都度、企画に反映させるのが理想だ。
自社に蓄積されたデータを大まかな戦略を決めて、最新のスポット調査で微調整を行う。これが企画マネジメントにおける情報活用の基本である。
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