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VMware、ユーティリティコンピューティングに進出

VMwareでは、ホスティングプロバイダーとの提携を通じて自社の仮想化技術を広範なユーザーに提供する考えだ。

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eWEEK

 米国カリフォルニア州パロアルトに本社を置くVMwareは6月6日、数社のホスティングプロバイダーとともにスタートした「Service Provider Program」(SPP)の詳細を明らかにした。同社と提携したプロバイダーには、さまざまななWebホスティング企業や通信事業者、アウトソーシング企業が含まれる。

 βトライアルの間にVMware SPPの規模が拡大し、これまでに北米、欧州およびオーストラリアの20社のホスティングプロバイダーが参加した。

 ユーティリティコンピューティングは、ホスティングプロバイダーが多数のサーバを使ってデータセンターのリソースをプールしておき、ビジネスの要求に応じてこれらのリソースを簡単に配備できるような環境を構築することを可能にする。

 ユーティリティコンピューティングのホスティングプロバイダー各社は、災害や非常時に備えて企業のデータをバックアップするといった用途でも自社のサービスの需要があることに気付いた。ユーティリティコンピューティングは、SOX法(米国企業改革法)などの政府のバックアップ要求に対応するという目的にも利用できる。

 VMwareは、自社の新プログラムを通じて、ホスティングパートナー各社に仮想化技術を提供する(仮想化は1台の物理サーバ上で複数のアプリケーションやOSを動作させる技術)。これらのホスティング企業は、VMwareの「Infrastructure 3」ソフトウェアスイートを使用することにより、それぞれの顧客に仮想環境を提供することができる。同ソフトウェアは、同一の物理サーバ上で複数の仮想マシンを運用・管理することを可能にする。

 各パーティションは隔離されているため、1つの仮想マシンに障害が起きても、その物理サーバ上で運用中のほかの仮想環境に影響が及ぶことはない。また、ホスティングプロバイダーが独自にサーバのパーティションを切ることによって、データセンターの物理サーバの稼働台数を増やしたり、物理サーバを新たに追加したりしなくても、顧客のニーズに応じてコンピューティングリソースを追加提供することができる。

 「さらにVMwareはSPPでは、ホスティングプロバイダーが自社のデータセンターに存在するリソースを柔軟に割り当てることができる」とVMwareの製品マーケティングディレクター、ボゴミル・バルカンスキー氏は話す。

 「これは、多くのホスティングプロバイダーが開発したモデルにもうまく適合すると思う。われわれがやろうとしているのは、新しいビジネスモデルを提供し、さまざまなホスティングプロバイダーが収益を得るやり方にこのモデルを適合させることだ」とバルカンスキー氏は説明する。

 VMwareの新プログラムに最初に参加したホスティング企業の1社が、テキサス州サンアントニオに本社を置くRackspaceである。

 Rackspaceで戦略と企業開発を担当するルー・ムアマン氏によると、同社では以前から社内のインフラでVMwareのソフトウェアを使っており、今回、SSPを通じて仮想化機能を自社のホスティングビジネスに統合する取り組みを始めたという。

 「これは非常に素早く状況に対応できる環境だ。仮想化を利用すれば、アプリケーションをハードウェアから分離することができ、アップグレードが必要な場合でも、非常にシームレスに行うことができる」とムアマン氏は語る。

 「仮想化の将来を考えた場合、信頼性と柔軟性が改善され、大規模なアプリケーションをサポートできることが重要なポイントになってくるだろう」(同氏)

 VMwareがホスティング企業に提供するInfrastructure 3ソフトウェアでは、2つのバージョンが用意される。「Enterprise」バージョンにはVMwareのESX Serverに加え、管理コンソールのVirtualCenterやライブマイグレーション機能のVMotionなどのツールが含まれる。「Standard」バージョンにはESX Serverだけが含まれる。

 VMware Service Provider Programは、既にVMwareから提供されている。同社では、このプログラムの価格帯に関する説明は避けている。

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