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マイクロソフトの「Silverlight」、その詳細が明らかに(3/3 ページ)

Silverlightの最初のリリースはインターネットビデオを扱うものだが、最終目標はWindowsを「RIA(リッチインターネットアプリケーション)の開発、実行をするための最高のプラットフォームとすることだ。

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 またMicrosoftはSilverlightの採用拡大に向けて、無料のストリーミングサービス「Silverlight Streaming by Windows Live」を提供する方針だ。このサービスのターゲットは、Silverlightベースのコンテンツをインターネット経由で広く配信したいものの、そうしたアプリケーションを自身でホスティングするために必要なオンラインインフラ(ストレージや帯域幅など)に投資する余裕がないような小規模な開発者だ。Silverlight Streamingでは、無制限のストリーミングと最大4Gバイトまでのストレージが無料で提供される。4Gバイト以上のストレージを希望する場合は商業契約を結ぶ必要があるが、その条件は利用方法によって異なり、詳細は公開されていない。

RIAプラットフォーム

 インターネットビデオは第1段階にすぎない。MicrosoftはSilverlight 1.0のβ版に加えて、より包括的なRIAプラットフォームの提供を目指したSilverlight 1.1のα版をリリースしている。Silverlight 1.1に追加される要素で最も重要なのは、Microsoftの戦略的開発プラットフォーム.NET Frameworkのクロスプラットフォーム版だ。

 .NET FrameworkをベースとするRIAプラットフォームが提供されれば、企業開発者の間でRIAの人気が高まるかもしれない。現在、ブラウザベースのアプリケーションを開発している企業開発者は、シンプルなHTMLベースのアプリケーション(開発は容易だが、ユーザーインタフェースが制限される)か、AJAXアプリケーション(よりインタラクティブなフル機能のインタフェースを提供できるが、開発が難しいとされている)かの選択を迫られている。

 Silverlight 1.1は.NET Framework 3.5をベースとすることになる。.NET Framework 3.5は、2007年遅くに次期Visual Studio「Orcas」と同時のリリースが予定されており、以下の要素が含まれる見通し。

  • .NET Common Language Runtime(CLR):デスクトップバージョンと同じ自動のメモリマネジャー(ガベージコレクタ)を含む
  • Base Class Libraries:ネットワークアクセスを含む
  • .NET Frameworkクラスライブラリの一部:データアクセス、2Dグラフィックス、アニメーションを含む
  • メディアの統合:Windows Media Video(WMV)、Windows Media Audio(WMA)、VC-1、MP3、圧縮されていないオーディオ(WAV)など、各種フォーマットがサポートされる

 Silverlight 1.1では、Silverlightアプリケーションを必ずしもJavaScriptで書く必要はない。代わりに、開発者はC#やVB.NETといった高度な言語を使用できる。さらに、.NET Framework 3.5では、特にLanguage Integrated Query(LINQ)向けに、より充実したコードライブラリが提供される。LINQは、SQL Serverなどのリモートソースからデータをクエリするアプリケーションの開発/保守を容易にする機能として、.NET Framework 3.5で新たに追加される技術だ。

Flashとの比較

 SilverlightとFlashとの比較は避けては通れない。どちらも、RIA用のプラットフォームを提供するプログラマブルなブラウザプラグインであり、どちらもストリーミングビデオをサポートし、どちらも「スクリーンショットを壁越しに交換し合わずとも、デザイナーと開発者が相互の作業を統合できるようにすべきだ」との考えに基づいている。

 Microsoftの最大の強みは、ASP.NETなどのWebプラットフォームを介して、.NET FrameworkやVisual Studio、C#プログラミング言語といった技術が既に企業開発者の間に広く浸透している点だ。Adobeの開発者ツールはオープンソースのEclipseフレームワークをベースとしており、デバッギングなど、多くの重要な分野でVisual Studioに大幅に遅れを取っている。また、Silverlightに採用されているVC-1コーデックは高精細(HD)品質の動画をサポートできるが、Flashビデオはまだそのレベルに達していない。

 だが、Flashはスタートで一歩先んじ、Flashランタイムの広範なインストールベースを確立しているだけでなく、Adobeはグラフィックスデザイン市場において確固たる地位を築いている。Photoshopは事実上すべてのグラフィックスデザイナーに使われており、またCreative Suite 3(CS3)のおかげで、FlashはAdobeの全製品ラインと統合しやすくなっている。さらに、MicrosoftのツールはWindowsでしか動作しないが、FlashツールはMacでも利用できる。Macはグラフィックスデザイナーの間で人気のプラットフォームだ。さらにFlashは既に、大人気の任天堂のゲーム機Wiiも含め、各種のデバイスや多くの携帯電話機でサポートされている。MicrosoftはそうしたデバイスにおけるSilverlightのサポートについては、まだサポート時期についてもサポート方法についても詳細を明らかにしておらず、サポートはバージョン1.1以降で実現するとしか語っていない。

 開発者はまた、クロスプラットフォーム環境の提供に対するMicrosoftの長年の姿勢についても疑問を抱くかもしれない。Microsoftは10年以上前からMac版のOfficeを提供しているが、Internet ExplorerやWindows Media Playerなど、そのほか幾つかのMac対応製品については、一度は導入したものの、その後、提供を打ち切っている。だが、チーフソフトウェアアーキテクトとして新たにレイ・オジー氏が加わったことで、そうしたアプローチも今後変化する可能性はある。オジー氏はSilverlightの発表の席で、「多くの顧客は、自社のサービスをWebのどこからでもユニバーサルに利用できるようにしたいと考えている」と指摘し、「SilverlightはまさにそうしたユニバーサルなWebをターゲットに据えた技術であり、ユビキタスな導入やクロスプラットフォーム/クロスブラウザなランタイムが状況を一変させることになるはずだ」と語っている。

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