ビジネスネットワーク作りのイベントを最大限に利用するための7つのヒント(3/3 ページ)
ビジネスネットワーク作りのイベントがIT技術者にも同様に役立つのかどうか、またそのような仕組みをどのようにIT環境に適用することができるのかを議論する。
量より質の出会いを選ぶ
ネットワーク作りの専門家といわれている人たちがよく口にするアドバイスとして、集団見合いのように行なえというものがある。つまりすべての人と何分かずつを過ごして次々に相手を替えていくというやり方だ。しかし、本来はその後の長期的な情報交換や助け合いに基づく深い関係を築くことができたときにはじめてネットワーク作りが成功したといえるのに対し、そのようなやり方では表面的な関係しか生まれないという問題点がある。そのようなやり方から得ることができるのは、どのような人からもらったのかをほとんど思い出すことのできない、数十枚の名刺のみだ。そしてそのような形でネットワーク作りをした相手も、やはり半年後にはあなたのことを思い出すことができなくなり、結果的にどちらも必要なら相手が連絡してくるだろうと考えてお互いの名刺を捨てるということになってしまう。
そのような不自然なやり方をするよりも、自分に素直になって、自分の仕事の関心事について長い会話をすることのできる相手を探すようにするべきだ。この方法では、会うことのできる人の数は少なくなるかもしれないが、その中の多くの人たちと長期的に連絡を取り合って行くことができる可能性は、おそらくずっと高いだろう。
代わりにカンファレンスやセミナーに参加する
ネットワーク作りを目的としたイベントに比べて、オープンソースやスクリプト言語といった技術寄りのテーマを中心としたイベントの方が、典型的なIT技術者にとって仲間を見つけることのできる可能性はずっと高い。なおカンファレンスではプログラミング関連のトラックを探すとよいだろう。またおそらく地元の大学や地元で広告を行なっているIT企業のオフィスなどでも、小規模なセミナーが毎週のように行なわれているはずだ。
代わりにIRCやFOSSへの貢献をする
おそらくあなたも、IRCチャネルにログインしたり、フリー/オープンソースソフトウェアプロジェクトにパッチを投稿したりすることをビジネスネットワーク作りとはみなしていないことだろう。しかし少し考えてみれば、「プロフェッショナルとして人々と知り合う」ということがどちらにも共通する活動であることが分かるはずだ。もちろんこの場合ネットワーク作りがあなたの主な目的ではないだろうし、そのような活動でのやり取りをネットワーク作りだと考えたこともないかもしれない。しかしそれでも、ほかの人の名前と彼らが持つスキルを知ったり、あなた自身の能力を実証したりしているはずだ。当然ながらオンラインでのやり取りでは直接会ったときのその人の印象を知ることはできないが、直接会って2時間話したときよりも、その人のプロ意識や働きぶりについてより詳しく知ることができることが多い。
さらにオンラインでお互いについて知っているIT技術者は、直接に会ったことがまったくなくてもビジネス上の関係を築くことができる。例えば最近、幾つかの記事のためにわたしがインタビューしたプログラマーは、彼の持つ能力を必要としている雇用主を知らないかとわたしに尋ねてきた。メールのやり取りから彼は信頼できる人物だと思っていたのでわたしは喜んで彼が応募しそうな勤め口を幾つか提案し、彼の能力を知り合いに売り込むこともできた。
同様に、ブルース・ペレンス氏による一時的なベンチャーキャピタルファンドが1999年にイアン・マードック氏のProgeny Linux Systemsに出資した際も、最初のきっかけは、直接的に会ったことがあるからというよりは、Debianプロジェクトでの活動を通してお互いについてよく知っているからだった。
これらの例が示すように、多くの人に信じられていることとは異なり、インターネット経由である程度の信頼関係を築くことは(お互いの公開鍵を使用しなくても)可能なのだ。
まとめ
性格的に向いている人や非常に柔軟に対応できる人にとっては、ネットワークは貴重なビジネスツール/キャリアツールとなり得る。しかし多くのIT技術者のように、ネットワーク作りという考え方に心地好さを感じないなら、無理をする必要はない。
ネットワーク作りについての一般的なアドバイスに盲目的に従うのではなく、自分の性格にどれほど合っているのかをよく考えてみよう。同様に、あらゆるネットワーク作りのためのイベントが有益であると仮定するのではなく、自分が最も快適に感じ、同志に会うことができそうなイベントを選ぶようにしよう。また、自分にとってはオンラインでのやり取りの方が直接会う形でのネットワーク作りよりも役立つ可能性があるということを認めよう。そうしなければ、自分が本当に快適に感じるものからどんどん遠ざかり、ネットワーク作りをしようとする努力が実際には有害無益なものになってしまうかもしれない。
Bruce Byfieldは、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalへ定期的に寄稿するコンピュータジャーナリスト。
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