iPhoneにかかわる潜在的メール問題――Exchangeアップデート
iPhone人気からIT部門の対応は急務となっている。Exchange Serverが急きょアップデートを行った問題は、ユーザーがAppleのMacMailで遭遇してきた多くの問題に対処するもの。
Microsoftはつい最近、Exchange 2007のアップデートをリリースした。これにより、Appleの新しいiPhoneが「Exchange Server 2007からメールを受信できない可能性がある」という問題が修正されるようだ。
ワシントン州レドモンドに本社を構えるMicrosoftは6月28日、Exchange Server 2007に対する3回目のアップデート(Rollup 3)をリリースした。このアップデートは、Appleが6月29日にiPhoneをリリースする直前に実施されたもので、ユーザーがAppleのMacMailで遭遇してきた問題の多くに対処する。
今回のアップデートは、MacMailに関連した問題に加え、ユーザーがMicrosoft Exchange Server 2007サーバのメールボックスにアクセスすると、特定のIMAP(Internet Message Access Protocol)クライアントが電子メールの本文を開くことができず、エラーメッセージが返されるという問題など、Exchange 2007のユーザーが抱えている多くの問題にも対処するものとみられる。
MicrosoftでExchangeを担当した元幹部で、現在はAzaleosの最高技術責任者を務めるキース・マコール氏によると、iPhoneはIMAP4経由でExchange Serverと連携するため、今回のフィックスは重要だという。
「Exchange 2007はIMAP4プロトコルの実装に問題を抱えていたが、Exchange 2007 Rollup 3では、少なくとも部分的にはこの問題に対処するものと思われる。われわれは現在、これらのフィックスがMacMailの問題にきちんと対処しているのかテストをしている」と同氏は語る。
しかしマコール氏は、iPhoneとの同期化機能はまだテストしていないため、今回対処した問題がiPhoneにも当てはまるかどうか確実なことは言えないとしている。ただし、Microsoft内部の人間に聞いた話からは、iPhoneにも当てはまるという印象を受けたという。「これらのフィックスがなければ、iPhoneがExchange 2007と連携する機能に影響することになっただろう」と同氏。
今回は累積アップデートとして最初の2回のアップデートをリプレースし、Microsoft UpdateならびにMicrosoft Download Centerを通じて提供される。アップデートの詳しい説明およびダウンロード情報はこちら(関連リンク)。
また、AppleがMicrosoftの「Exchange ActiveSync」プロトコルのラインセンスを受け、Mac OS Xに移植すれば、iPhoneとExchange 2003/2007との連携が改善される可能性がある。同プロトコルはデータ同期化サービスを提供するもので、モバイルユーザーが電子メール、スケジュール、コンタクト情報にアクセスし、これらの情報をオフラインでも利用することを可能にする。
AppleとMicrosoftでは、こういったライセンス提携に関して何も言っていないが、仮にそのような合意が既に行われていたとしても、必要な技術的作業を考えれば、ActiveSyncがiPhoneに対応するには何カ月かかかることになりそうだ。「この作業が既に開始していたら、われわれに分かるはずだ」とマコール氏は話す。
「iPhoneからMicrosoft Exchangeにアクセスする機能はエンドユーザーにとっては重要だが、当社の顧客企業のIT部門の多くは関心を示していない。IT部門はそれよりも、iPhoneに関連したチャレンジに直面している。ほかのモバイルデバイスと同様、iPhoneでも電子メールなどの重要なビジネスアプリケーションへの毎日24時間のアクセスに対するプロビジョニング、セキュリティ維持、監視、管理にかかわる課題が生じるからだ。新しいデバイスが登場するたびに、企業の電子メールシステムを管理するコストと複雑性が増大するのだ」(同氏)
IT部門がモバイルデバイスを配備するに当たっては、セキュリティや冗長性など数々の課題に直面することになる。セキュリティ関連の課題には、社内情報にアクセスしようとするモバイルデバイスを簡単に有効/無効にできるようにすることも含まれる。
マコール氏によると、Exchangeの可用率は99.9%を上回るかもしれないが、多くのIT部門にとってモバイルアクセスの可用率を維持あるいは評価するのは困難だという。「われわれの推定では、モバイルアクセスの可用率は通常90%以下だ。これは、ITインフラがモバイルユーザーを考慮した設計になっていないこと、ネットワーク通信範囲の問題、クライアントソフトウェアの不具合などが原因だ」と同氏は指摘する。
同氏によると、IT部門はモバイルデバイスから社内情報へのアクセスの監視とレポート作成でも苦労しているという。
Azaleosが開発中の「MobileXchange」ソリューション(7月にリリース予定)は、こういったニーズに応えるもので、iPhone、Microsoft系モバイルデバイス、RIMのBlackBerryスマートフォンを含む広範なデバイスに対応する、とマコール氏は話す。
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