いまLinuxは盛り上がっているか?――動き出したLinux市場(2/2 ページ)
Linuxをめぐる動きが、企業や官公庁向け市場を中心ににぎやかになってきた。有力ベンダーがここにきて相次いで新たな事業戦略を展開し始めている。
最新版OSの発表会見に臨んだ同社マーケティング パートナービジネス本部長の纐纈昌嗣氏は、さまざまなSPECベンチマークよるRHELとUNIXの比較を示したうえで、「Linuxの性能はUNIXを凌駕している」と強調。さらに、上から汎用機、UNIX、Linux、Windowsサーバと位置付けた、企業向けOSの利用階層を記したピラミッド図を示し、「今Linuxは真ん中より下の領域にあるが、5年後には一部のハイエンド機やローエンド機を除く中央のほとんどを占めるようになる」と語った。そして「とくに今のUNIX市場の8割は、Linuxでカバーできる」と、WindowsもさることながらUNIX市場の切り崩しに注力していく姿勢を明らかにした。
また、OSSベースのミドルウェアでは、アプリケーション開発などの基盤となる製品群「JBoss Enterprise Middleware」を提供。基盤ソフトウェアとして、J2EEおよびJavaEE5完全準拠のアプリケーションサーバ「JBoss Enterprise Application Platform」、企業ポータル構築のための開発基盤を提供する「JBoss Enterprise Application Platform for Portal」、SOA(サービス指向アーキテクチャー)ベースのシステム構築を実現するサービス統合基盤「JBoss Enterprise SOA Platform」の3製品を用意した。
これらは、米レッドハットが昨年6月に買収したジェーボス社が展開していた製品群で、レッドハットとしてはミドルウェア分野への初参入となる。
来日会見に臨んだ米レッドハットのマシュー・ズーリックCEOは、こうした製品群やサービスの拡充によって、「レッドハットは製品のサプライヤーからソリューションサプライヤーに変身する」と強調した。Linuxディストリビューション最大手のレッドハットがこうした攻勢に打って出てきたことで、市場が活性化するのは間違いなさそうだ。
(「月刊アイティセレクト」2007年8月号のトレンドフォーカス「動き出したLinux市場 新たな戦略展開を図る有力ベンダーの皮算用」より)
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