トラブル対応の出張を減らせるか? チェーンストアシステム構築物語:運用管理の過去・現在・未来(2/2 ページ)
中村さん(仮名)は、中堅のレストランチェーンP社の情報システム管理者である。以前はトラブルが発生するたびに全国を飛び回る毎日だったが、新しいシステムを導入して、その状況は改善されたのだろうか。
コスト削減には成功したが・・・
最初のシステムを運用し始め、1年、2年と経過していくうちに中村さんも経験を積み、システムに関していくつもの課題が見えてきた。その中で根本的な問題点と言えるのが、ベンダーお仕着せのシステムをそのまま採用したことだった。
そこで、最初のシステムのリース期限を迎える1年前、第二次のチェーンストアシステム導入プロジェクトを立ち上げた。最初のシステムの課題をすべて洗い出し、業務を遂行するためにあるべきシステムの姿を描きながら、設計を行った。最初のシステムを手がけたQ社にも声をかけたが、今回は負担の大きい運用コスト削減を目指し、複数のベンダーに提案と見積もりを依頼。既存システムをベースにしたQ社の提案を推す意見もあったが、最終的に中村さんはWindowsベースのオープン系システムを提案したR社と契約することにした。
この第二次システムでは、保守契約の大幅なコストダウンにも成功した。ただし、オフコンベースのシステムに比べ、Windowsベースのシステムはハードウェアもソフトウェアも「不完全さ」が目立ち、トラブルの発生件数は最初のシステムよりもむしろ増えてしまった。コスト削減に成功したものの、運用管理の手間は今まで以上になったのだ。
トラブル発生のたびに、中村さんが直接呼ばれるケースも増え、いつしか週の半分は全国各地の店舗や事業部事務所に出張するようになっていた。
管理の手間を軽減した新システム
そんな第二次システムの更新時期を迎えた昨年、中村さんは今の第三次システムの構築を開始した。新しいシステムは、コスト削減に一定の成果を上げた第二次システムをベースにしながら、最新ハードウェアを導入してシステム全体の高速化を図るとともに、トラブルの少ない堅牢なシステムを目指すことにした。同時に、中村さんの管理負荷を軽減するため、リモートコントロールによって管理できる機能も導入した。
店舗にあるストアコントローラには、BIOSレベルから遠隔操作できるIAサーバを採用。これは、5年前に導入したストアコントローラにはなかった機能だ。これにより、ソフトウェアのトラブルは本社の情報システム部にいながらにして行えるようになり、ハードウェアの障害のみを各店舗の現地保守会社に任せることになった。
当然、中村さんの出張は激減。業務時間をより効率的に使えることになり、不惑の年に近づいた肉体の負担も小さくなった。中村さんは、テクノロジーの進化に感謝しながら、今日もチェーンストアシステムの運用管理を行っている。
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