中国でERPアプリケーション導入を成功させる方法:Oracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(2/2 ページ)
SVA-NECでは、工場設立と同時にERPの稼働を開始した。パッケージによる導入が功を奏し、早期の活用が実現したという。
とはいえ、3年間利用してきて、新たな問題も発生しているという。それは、ユーザーが利用に習熟してきたからこそ出る、前向きな課題の提示だという。
SVA-NECで現場のシステム構築・運用のリーダーである朱 敏(Zhu Min)氏は、「実際にシステムを利用していると、部材の供給のフローがかなり複雑で、より高い精度が求められています。コスト管理についてのより高い精度も新たな課題です」と数多くの要望がユーザーから出ている現状を説明する。こうした課題に関しては、既存のシステムに新機能を開発することで対応していくという。
業務拡張に合わせてシステムを乗り換える
SVA-NECによる液晶パネル製造のプロジェクトは、現状のガラス基板だけではなく、そのほかの部品もSVA-NECで製造する方向へと大きく拡大することが予定されている。そのため、当初の上海市の重点プロジェクトは国の重点プロジェクトへと発展しているとのことだ。このプロジェクトには、全体で60億ドルあまりが投資されることになっており、その際にはITシステムにも大きな投資が予定されている。自社で多くの部品を作ることになるので、既存のシステムよりもさらに複雑な生産管理のシステムが必要になるからだ。
これを実現するためには、既存のシステムを無理に拡張して対応するのではなく、別途新規のプロジェクト用に新たなシステムを構築するという。そして、新たなシステムが正常に稼動した段階で、既存システムから一気に乗り換えることを計画している。そのため、既存システムへの要望に関しても、新たなシステムのほうで積極的に取り入れることになるという。
過去のしがらみをを持たずに、ゼロからシステムを作り上げる潔さも、中国でERPシステムの導入を成功させるためには、重要なポイントになるようだ。あるいは過去を引きずらないこの潔さが、中長期的に見れば大きなコスト削減につながるより良い選択肢となるのかもしれない。これは日本でも十分に通用する可能性がある。
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