「SaaSだけのベンダーとは違う」とOracle:Oracle OpenWorld Asia Pacific 2007 Report(2/2 ページ)
Oracle 上級副社長ジェスパー・アンダーセン氏は、同社の市場優位性を「リーダーシップ、イノベーション、そして多彩な選択肢」だと分析する。
イノベーションを続けることの価値
アンダーセン氏は、顧客実績のみならずその上でイノベーションを続けていることが、顧客からの高い評価につながると分析する。顧客にイノベーションをもたらす「価値」を生み続けているからこそ評価されるとアンダーセン氏は言い、前の基調講演で日立製作所の山口氏が紹介した、u-Valueにより顧客のイノベーションを求め続ける姿勢と同様だとコメントした。
次世代のイノベーションの例としては、複数のアプリケーションを連携、融合させるApplication Integration Architecture、さまざまなソースのデータへ透過的にアクセスしてビジネスインテリジェンスを実現する仕組み、GRC(Governance Risk and Compliance)管理の分野などがあると説明した。特にGRC管理についてアンダーセン氏は詳細に解説を行った。
1つのアプリケーションパッケージ製品だけを利用しているならば、ガバナンスおよびコンプライアンスを企業としてリスクの少ない状態で管理、コントロールできる。しかし実際は個々のアプリケーション領域ごとに複数の異なるアプリケーションが混在するのが普通であり、そういった状況で適切なGRC管理を行う必要性が今後は高まるという。その際に、アプリケーションの設定管理、GRC管理の状況を見える化するインテリジェンス機能、適切なアクセスコントロールなどを一元的に管理するのがOracle GRCだ。
そして、次世代イノベーションの最大の目玉が、来年の提供が予定されているFusion Applicationsだ。既存のユーザーの声を反映し、実際の現場での運用を容易にするための工夫や、構築や既存システムとの統合作業、サポートを行うパートナー企業のノウハウをも取り込んだものになるとアンダーセン氏。
製品のバラエティに利用形態のバラエティも加わる
戦略的優位性の最後のポイントが、選択肢の広さだ。Oracle E-Business Suite、PeopleSoft、Siebel、JD Edwardsの各製品の最新版を提供し、これら製品の中長期的な拡張、更新のロードマップも示されている。さらに、いわゆるSaaS型のアプリケーションとなるOn Demandにも力を入れるので、さらにユーザーの選択肢は広がるとアンダーセン氏は説明する。
「SaaSだけのSalesforce.comなどとは異なり、Oracleの場合はOn Demandも選べるしOn Premise(従来型の顧客オンサイトでのシステム運用)の形態も選ぶことができる。さらにこの両方を融合させて利用することも可能だ。また、システムを動かすデータセンターも、Oracleのデータセンターを使うこともできれば、顧客のデータセンターでもよい」(アンダーセン氏)
アプリケーションを利用する形態にもさまざまな選択肢があるというのが、SaaSしか選べないベンダーとは大きく異なる優位性だという。
基調講演後に、選択肢が広いという優位性は理解できるが、とはいえ次世代のアプリケーション製品であるFusion Applicationsへの移行を推奨し積極的にサポートする準備はないのかという質問をアンダーセン氏にしたところ、Oracle Applicationsの既存顧客をFusion Applicationsへアップグレードすることを推進する、Fusion Upgrade Program Officeという組織が立ち上がるとの回答を得た。
この新たな組織の責任者は、アプリケーション製品の技術担当上級副社長であるクリフ・ゴッドウィン氏が務めるとのこと。既存の顧客がFusion Applicationsにアップグレードするタイミングや意義、メリットなどを調査、分析して顧客に伝え、顧客の環境に合わせたより適切なタイミングでのアップグレードとその支援策を明示する。そこから得られる価値を訴求することで、既存顧客のアップグレードをさらに推進していくという。
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