MS、オーディオ透かし技術をActivated Contentにライセンス供与
Microsoftはプロプライエタリ企業とオープンソース企業の両方に対し、自社の知的財産および特許ポートフォリオのライセンス供与を積極的に進めている。
米Microsoftは自社の研究施設Microsoft Research(MSR)で開発したオーディオ透かし技術のライセンスを米Activated Contentに供与する。Active Contentはシアトルを拠点にデジタル技術とアプリケーションサービスを手掛ける企業だ。
Microsoftのオーディオ透かし技術は各種のデジタルオーディオソフトウェアツールで構成され、Activated Contentはこれにより、非セキュアなデータをオーディオファイルに挿入したり、オーディオファイルから取り出したりして、ユーザーに付加的なサービスを提供できることになる。
Activated Contentはこうして、自社のオーディオ透かし技術をエンターテインメント、広告、テレフォニーなどの業界に拡張したい考えだ。
同社は既に、特定可能で堅固、かつ不可聴な独自のコードをデジタルオーディオにエンコードするための自社の透かし技術の特許を取得済みだ。
この技術は大手レーベルや独立系レーベルのほか、録音スタジオ、マスタリングスタジオ、プレス工場、CATVチャンネル、オンラインコンテンツ配信サービスなど、既に世界中の各種の企業で導入されている。
だがMicrosoftとの提携により、Activated Contentは今後顧客に対し、相互運用性を提供できることになる。これからは、従来のコンテンツオーナーとユーザー生成コンテンツの作成者の両方が同社の技術を利用できるようになるからだ。
「この契約を交わすまでは、当社の製品は独自のプロプライエタリ技術をベースとしていた」とActivated Contentのエリック・シルバースタインCEOは語り、Microsoftとのコラボレーションにより、今後は革新的なソリューションを迅速に導入し、オーディオ透かし市場向けの新たなアプリケーションも迅速に作成できることになるだろうと話している。
「Microsoftの革新的技術および知的財産の広範なポートフォリオと当社の既存の資産とを組み合わせられるのは、われわれにとってまたとないチャンスだった。これで当社は今後、業界の先頭に立って、数十億ドル規模のモバイル広告市場にデジタルリンクを提供し、アグリゲーターがユーザー生成コンテンツで広告とコンシューマーを結び付けられるようにできる」と同氏。
一方、Microsoftの知的財産ライセンスグループ担当ジェネラルマネジャーのルイス・カーボノー氏は次のように語っている。「Activated Contentは当社の研究施設が開発したオーディオ透かし技術を新種のアプリケーションに拡張できる格好の立場に置かれている。われわれは当社近くに拠点を置く一企業の発展を支援できることを非常にうれしく思っている」
さらに同氏は、「当社は顧客とITエコシステム全般のどちらにもプラスとなるような方法で、自社の知的財産ポートフォリオのライセンス供与を行うよう尽力してきた」と続け、この種の提携を介して、企業はMicrosoftの特許や研究開発ポートフォリオにアクセスでき、顧客にとってより価値の高い最先端の技術を開発できることになる、と指摘している。
Microsoftはプロプライエタリ企業とオープンソース企業の両方に対し、自社の知的財産および特許ポートフォリオのライセンス供与を積極的に進めており、既に米Novell、米JBoss、米XenSource、米Linspire、韓国Samsung、米Xandros、米Zend、富士ゼロックスなどの企業と契約を交わしている。
だが同社が最近オープンソースベンダーとの間で免責条項付きで特許契約を次々と交わしていることは物議をかもしており、Ubuntuプロジェクトのリーダーを務めるCanonicalのマーク・シャトルワースCEOは先ごろ、「Microsoftはそうした特許免責契約を結ぶことで、Linuxコミュニティーやオープンソースコミュニティーを分断させるのに成功した」と指摘している。
Microsoftは2003年12月に知的財産の新しいライセンスプログラムを始動して以来、200件以上のライセンス契約を締結している。この新しいプログラムは、同社の大規模な研究開発投資や増大する特許・知的財産ポートフォリオへのアクセスを開放するために定められたものだ。
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