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あの「ウイルス三つどもえ戦争」を忘れない女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)

システム管理に疲れたとき、管理者は「昔は分かりやすくてよかった」としみじみすることがあるが、ウイルスについて、それは当てはまらない。特にあの冬の三つどもえ抗争劇は。

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 ウイルス作成者がどう考えようが、システム管理者から見れば、大量メール送信やネットワークに悪影響を与える限り、それこそが悪なのだ。正義の味方のつもりでせっせと亜種を作り続けるNetskyも、対抗して新たな攻撃手法で挑んでくるMydoomやBagle同様、システム管理者の敵であることは明らかだった。逆に、Netskyの存在自体がほかのウイルス作成者を刺激することとなり、状況は悪化するばかりだった。

管理者みんなの戦い

 それからは、MydoomやBagleが新たな攻撃手法の亜種を次々と繰り出し、Netskyはそれらを駆除する新種で対抗する、という図式が成立するようになった。それぞれのウイルスコードの中には、お互いをののしり合うメッセージが含まれ、一晩のうちに1つのワームの亜種が3種類も発生したこともあった。途中、Netskyのオリジナル作者が手を引き、ウイルスコードが公開されたことで、Netskyも真の悪の仲間入りを果たしてしまう。もはや3種の争いは、影響力を自慢し合うただの子供のケンカのようになっていた。

 そんな中で、システム管理者のわたしは、それぞれのワームの亜種情報を収集して新たなウイルス注意喚起文書を作成し、イントラネットへアップする作業を際限なく繰り返した。同時に、更新された駆除ツールの動作確認やウイルスソフトメーカーとの調整も必要となる。当然、ワームの中には感染が広まってしまうものもあり、そうなれば、またいつ帰れるのか分からない地獄のような対応に追われるのだった。

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 永遠に続くかと思われたこのウイルス抗争も、数カ月を経てようやく下火となった。ウイルス作者が互いの優秀さと影響力を主張し合ったこの出来事は、ウイルスの影響が最も分かりやすかった時代の象徴となり、「三つどもえの抗争劇」として歴史に刻まれた。

 しかし、システム管理者の記憶の中では、違う事実が記されている。あの戦いに参加していたのは、この3者だけではないのだ。あのとき、確かに世界中のシステム管理者が、3つのウイルスの脅威に立ち向かっていたのだった。

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