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2.0の本質は人にあり:エンタープライズ2.0時代の到来(2/2 ページ)
Web2.0を企業内に導入する動きは、昔、企業がイントラネットを取り入れた際の状況とよく似ている。しかし、2つの間には決定的な違いがある。それは何か。
Web2.0の導入でもっとも大切なことは
――Web2.0の導入は企業で進んでいるとみますか。
Web2.0が社内で利用できるという認識は広がってきています。しかし、企業にとってこれらの導入でコストがいくら削減されるか、ROI(投資対効果)はどれだけになるかを明確につかむのが難しいです。そのため、現状は導入が進んでいないとみています。またマーケティングやPRなど、社外に向けてにこれらのツールを使う場合、利益を生み出して初めて効果があると言えます。この点においても、導入効果を予測するのが難しく、導入を妨げる要因となっているのではないでしょうか。――SOA(サービス指向アーキテクチャ)というコンセプトが枯れてきた中で、エンタープライズ2.0という流行に乗って製品展開しようとする企業もみられますが。
SOAもエンタープライズ2.0も基本的には同じ動きだと思っています。エンタープライズ2.0という言葉の中に、SOAやSaaS(Software as a Service)がうまく取り入れられているという感じさえします。どれも似たコンセプトなので、最終的にはどの言葉が生き残るかという問題でしょう。特にエンタープライズ2.0という言葉は、ベンダー側に都合のいい言葉とくみとれなくもないです。企業は、そういった言葉に惑わされず、明確なコンセプトを持って、Web2.0を自社の経営にどう落とし込むかを考える必要があります。――企業にWeb2.0的なサービスを取り入れるために大切なことは何ですか。
社内改革を望むのであれば、それらのサービスを利用する人のことを考えなければなりません。システムを重視したWeb2.0サービスを企業に取り込んでも、導入する人がユーザーの何を望んでいるかを考えなければ、単に新しいシステムを取り上げただけで社内変革がなされぬまま終わってしまう可能性が大きいです。ユーザーは、企業がWeb2.0サービスを利用するだけでなく、自分たちの使いやすいようにカスタマイズすることもできます。今までは、企業が取り入れたものを使う以外に選択肢はありませんでした。しかし、ユーザーはそれに対して発言権を持ったということになります。エンタープライズ2.0はユーザーが積極的に参加できる場を提供するという点において、パラダイムシフトを起こしたと言えるでしょう。エンタープライズ2.0は人が媒介することに一番の価値があるのではないでしょうか。
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