アップルジャパンの流通を改革した「サムライ」たち:温故知新コラム(2/2 ページ)
世の中に登場して半世紀しか経たないコンピュータにも、歴史が動いた「瞬間」はいくつも挙げることができる。ここに紹介する「ビジュアル」もまさしくそのひとコマ――。
歴代日本人社長が取り組んだ「流通改革」
1997年からアップルジャパン社長を務め、現在、日本マクドナルドCEOを務める原田泳幸氏も1990年にアップルジャパンに入社。また、日本ヒューレット・パッカード社長、ダイエー社長を経て、マイクロソフトCOOとなった樋口泰行氏は、武内氏がアップルジャパン社長として最後の年となった1994年にアップルに入社している。
武内氏が社長として挑んだ最大のテーマは、キヤノン販売一辺倒からの「流通改革」と言えるが、振り返れば、1997年からアップルジャパン社長に就任した原田泳幸氏、そしてその後の代表取締役の前刀禎明氏、山元賢治氏に課せられたのも、実は「流通改革」だと言ってよい。
原田氏は1998年に発売された「iMac」で、異例とも言える定価販売を実現。その一方で、取り扱い店舗を大幅に絞り込み、店頭での展示方法までアップル主導のものに限定させた。また、前刀氏、山元氏が挑んだのはアップルストアによる直販体制の強化で、一般的なアップル取り扱い店ではiPodなどの主力製品が品薄であるにも関わらず、銀座や心斎橋、名古屋、渋谷のアップルストアには潤沢に品物があるという体制を作り上げた。
つまり、キヤノン販売主導の流通体制から複数の販売店の林立体制、そしてアップル主導での特定販売店による取り扱い体制を経て、ここにきて、アップルストアによる直販主導体制へと180度の転換を果たしたのだ。
アップルジャパンの歴代日本人社長の評価は、日本におけるアップル製品の定着ばかりが注目されているが、実はアップル主導へシフトするための、流通との激しい戦いの歴史だったとも言えるのだ。(肩書きはいずれも当時のもの)
このコンテンツは、月刊サーバセレクト2005年11月号の記事を再編集したものです。
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