水着だらけの製品発表?――Notesの父がマイクロソフトの次世代サービスを率いるまで:温故知新コラム(2/2 ページ)
世の中に登場して半世紀しか経たないコンピュータにも、歴史が動いた「瞬間」はいくつも挙げることができる。ここに紹介する「ビジュアル」もまさしくそのひとコマ――。
オジー氏、まさかのマイクロソフト入り
実は、この会見は1994年のIBMによるロータス買収のあとに行われた。IBMのロータス買収の狙いは、当時ロータスの主力ソフトであった表計算ソフト「Lotus 1-2-3」ではなく、Notesであったのは明らかで、IBMによるロータス買収の条件として、オジー氏が留まることが前提にされていたというほどだ。
実際、ロータスの買収から3カ月を経過した時点で、当時、ロータスのCEOだったジム・マンジ氏が退任した際も、「オジー氏は、Notesの新バージョンがリリースされるまでは会社に留まる」という、異例ともいえるコメントが発表されたほどだ。それだけ、オジー氏の存在は大きかったといえる。
この声明通り、最新版のR4発表の翌年、ロータスを退社したオジー氏は、P2P ソフトウェアを開発するGroove Networksを創立。インターネット時代の新たなソフト開発への挑戦を開始した。
そして、2005年にマイクロソフトがGrooveNetworksを買収。オジー氏は、そのままマイクロソフト入りしたのだ。さらに驚くことに、買収と同時にマイクロソフトのCTOに就任。同社の技術部門を統括する立場へと変わったのである。
ビル・ゲイツ会長は、Groove Networksの買収に伴い、「かねてからレイとそのチームを迎えることを切望してきた。今回、その想いがようやく実現する」として、かつてライバル関係にあったオジー氏とのパートナーシップを最大限の賛辞で歓迎した。
マイクロソフトでオジー氏が担うのが、インターネットを活用した各種サービス戦略だ。いわば広告モデルを中心とした新たな事業展開を、オジー氏がリーダーとなって率いることになるのである。
マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、この次世代サービスについて、「マイクロソフトは賭けに出た」と表現している。それは、ソフトウェアのライセンスによって収益を得ていたマイクロソフトのこれまでのビジネスモデルとは異なる事業を軸とする大きな方針転換だからだ。
オジー氏が、マイクロソフトの次代のビジネスモデルを構築するとは、1996年の会見では、誰も予想だにしなかったことだろう。
このコンテンツは、月刊サーバセレクト2006年3月号の記事を再編集したものです。
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