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人事担当全員カウンセラー? 心の「危険信号」をいち早くつかむシステム管理者のココロの栄養素(1/3 ページ)

IT企業におけるメンタルヘルスへの関心は日増しに高まっている。それに呼応して、社員の健康を管理する人事・労務担当者自身がカウンセラー資格を取得しようと試みる企業もある。その取り組みを追った。

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このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理の過去・現在・未来」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。



 昨今、社員の労務問題に起因する心の病、いわゆるメンタルヘルス不全の増加が大きな問題となっている。特にIT業界は、労働集約的業務が幅を利かせ、1人で抱え込む業務が多いことや、細かい作業を高い精度でこなし、かつ厳しい納期が求められていることから、ほかの業界に比べ精神疾患の発生率が高いといわれている。

 また、景気の回復とともに仕事量が増える一方、慢性的な人材不足による長時間労働は改善されていない。さらに、この世界は技術的な進展が極めて早く、常に複数の知識を習得しておくことが求められるなど、エンジニアやシステム管理者などにとっては非常に厳しい環境といえる。

メンタルヘルス不全の連鎖

 これら、ストレスを原因とする「うつ」などの精神疾患を発病すると、全快までに多くの時間がかかり、長期休職から復職まで会社が負担するコストも少なくない。復職しても従前の状態にまでパフォーマンスが発揮できる例はまれだという。

 また、本人のみならず、所属するチームや組織、プロジェクトなどへの士気の低下や、周囲へのストレスの連鎖が起こり、1人のメンタルヘルス不全者が発生した組織では、かなりの確率で複数人の予備軍が認められるという研究結果もある。企業にとって、社員のメンタルヘルス不全発生は非常に大きなダメージとなるのだ。

 もちろん、社員本人のダメージも大きい。フルタイムの就労が困難になり、あるいは長期間の休職に至った場合、傷病休暇制度や傷病による有給欠勤制度、あるいは休職中の傷病手当などを用意する企業もあるが、中小企業ではこのような制度を充実させるのは難しいだろう。しかも、これらは数カ月〜1年間といった期限付きの、金銭面における支援でしかない。

人事部員本人がカウンセラー資格を取得

 心の問題を抱えている社員にとっては、制度的な支援のほかに、カウンセリング的な支援を用意することが必要と考えたのは、日本ユニシスだ。

 同社は、従業員のメンタルヘルス対策の一環として、人事部員本人がカウンセラー資格を取得し、社内のメンタルヘルス相談の窓口となるようなプログラムを進めている。日本産業カウンセラー協会が認定する「産業カウンセラー」(*1)をはじめ、同協会が認定する「キャリア・コンサルタント」(*2)、中央労働災害防止協会が認定する「心理相談員」(*3)などがその主なターゲットとなる。

 人事部人事室と、今年から新たに設けられた「社員健康推進室」の2つに在籍するメンバー約30名を対象に、全員がこれらの資格取得を目指すという。社員の心と体の健康支援を進める職責の必須な知識として位置付けている(図1)。

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図1●日本ユニシスグループでのメンタルヘルス体制

 「この取り組みの最大の目的は、人事部員への啓もうと教育的支援。社員のメンタルヘルス不全を回避するために、どのような知識・スキルを身に付けるべきかを検討する中で、産業カウンセラーの資格取得に必要な知識とスキルの会得が最も妥当だと考えた」と語るのは、日本ユニシスの人事部で人事室長を務める大根田育生氏。自身、産業カウンセラーやキャリアコンサルタント、心理相談員といったすべての資格を取得している。


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