住友電気工業は9月25日、高速PLC(電力線通信)技術を応用した企業向け同軸ケーブルモデム「ACLC」シリーズを販売開始した。テレビアンテナ配線に用いられる同軸ケーブルで社内LANを構築できる製品で、電力線を利用するPLCの導入が難しい学校、医療機関、ホテルなどでの需要を見込む。
ACLCは親機(ヘッドエンド)の「CAU2510」、子機(CPE)の「CTE1510」からなる。同社の企業向けPLCモデム「PAU2210/PTE1310」をベースに開発されており、QoS(サービス品質)/VLAN機能や、リピータによるモデム991台の大規模接続機能などを実装。理論値で最大200Mbpsの通信速度を実現する。また実効速度は約100Mbpsと、PLCモデムの80Mbpsより高速化している。インタフェースは100BASE-TXと同軸がそれぞれ1ポート。
ACLCで採用する同軸ケーブルは、高速PLCの伝送メディアとして使われる電力線に比べて線路品質が高く、電磁波がシールドされているため信号強度による漏えいの影響がないなどの長所がある。テレビアンテナ用同軸ケーブルに分配器で接続して利用するが、周波数多重方式のため既存のテレビ放送にも影響を与えないという。
ACLCの実売価格は、CAU2510が9万円前後、CTE1510が2万5000前後。同社は2012年までに100億円の販売を計画している。
関連記事
- シャープの参入で勢いづくAV仕様PLC HD-PLCと一騎打ちに
住友電工が開催した事業者向け高速PLCのセミナーで、シャープがHomePlug AV1.1方式のPLCモデムを電撃発表。ホーム市場で優位にある松下電器陣営のHD-PLC方式と一騎打ちになりそうだ。 - 成功それとも時期尚早? 企業向けPLCベンダーの挑戦
「企業向けPLC」の市場性はまだ未知数だ。マーケット拡大の可能性を探るべく、エンタープライズPLCを事業として展開する2社を取材した。 - 高速PLCの「簡単、速い、すぐ使える」は本当か
- 【特集】「エンタープライズPLC」のススメ
ついに解禁されたPLC(高速電力線通信)。この“第3のLAN”は、企業向けに活用できるのか。また、オフィスに導入するには実際にどのような点に考慮すべきだろうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.