XenによるFedoraの仮想化:仮想化の達人(3/3 ページ)
1つのコンピュータ上で複数のOSを動作させることができる仮想化システム。本稿ではXenについて、Fedoraマシンへのインストールの方法と環境に応じた構成の仕方を説明する。
稼働中の構成
ゲストOSが起動したら、dom0からxmコマンドを使ってみよう。マシンに割り当てるメモリの大きさを変更するコマンド「xm mem-set」はすでに経験済みだ。domU VMは仮想化されていることを認識しているので、使用するメモリの大きさを変更できる。同じ理由で、VMに対してシャットダウンを求めることもできる。コマンドは「xm shutdown yourvm」(yourvmはVMの名前)。これを使えば、domU VMはLinuxの正当なシャットダウン手順を経て正常終了する。直ちにシャットダウンさせたいときに使うコマンドは「xm destroy yourvm」。これを使う場合は、VMが安全な状態にあることを確かめておく必要がある。例えば、テキストファイルをオープンしていてまだ保存していなければ、ファイルは失われる。
xmコマンドはVMを停止させるだけでなく、スナップショットを保存することもできる。コマンドは「xm save yourvm yourvm.state」。このコマンドはyourvm VMのRAMをファイルに保存しVMを停止させる。コマンド「xm restore yourvm.state」を実行すると、保存した状態が復元される。構成ファイルからVMを作る場合は、コマンド「xm create -c yourconfigを使う。構成ファイルは/etc/xenに置き、VMにつける一意的な名前を設定しておく必要がある。
VMのコンソールに接続するコマンドは「xm console yourvm」。Ctrl-](Controlキーと右角括弧)を押せば、接続は切断される。コンソールを切り離した後も、VMは動作を続け、シャットダウンはしない。再度「xm connect」コマンドを実行すれば、再びコンソールが接続される。
ヒント /etc/xenにある構成ファイルはテキスト形式のため、編集は容易だ。例えば、vcpusの設定値を変えるだけで、VMから見えるCPUの数を変更することができる。これは仮想CPUであって、実際のCPUではない点に注意。したがって、実際にはCPUが1基しかなくても8を設定すれば、ゲストOSにはCPUが8基あるように見える。これを利用してデスクトップでクラスターをテストすることができるので非常に便利だ。
仮想化に関連するFedoraコマンドとXenコマンド
Fedora上のXenを扱う際に有用なコマンドを以下にまとめた。
- virt-manager――Red Hatの新しいグラフィカルXen管理システム
- vncviewer――Xen VMのグラフィカル出力に接続するコマンド
- xend――Xenデーモンを起動したり停止させたりするコマンド。つまり、serviceコマンドを使わなくても起動/停止は行える
- xenguest-install.py――構成ファイルの作成に便利なスクリプト
- xm――稼働しているVMの状態を操作するコマンド
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