牙城を切り崩せるか? 2大勢力のDBサバイバル競争が激化(3/3 ページ)
日本オラクルとマイクロソフトが、データベース管理ソフトにおける新たな新戦略展開を発表したことにより、市場はますますホットな戦いが繰り広げられそうだ。
揺るがぬオラクルの牙城の行方やいかに
両社が相次いで新たな戦略展開を発表した同じタイミングで、調査会社のIDCジャパンが国内のデータベース管理ソフト市場の動向を発表した。同社が9月4日に発表した調査結果によると、2006年の同市場規模は前年比3.4%増の1822億円だった。
市場背景の動向としては、国内企業の収益回復が継続しており、金融やインターネットサービス分野を中心とする大型投資案件もあって、システムの中核となるリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)への投資が堅調だったという。また、07年以降は成長率が鈍化するが、ベンダー間の価格競争、マルチコアCPUの普及に伴うハイエンド市場の成長鈍化、オープンソースによるエントリー市場の吸収などのマイナス要因もあり、その後も成長率は大幅に拡大することなく、年率2%以下の成長が続く、としている。
市場の87%を占めるRDBMSのベンダー別売上高のシェアをみると、オラクルとマイクロソフトが市場の平均を上回る伸びを示し、その他のベンダーは振るわず、明暗が分かれた格好となった。オラクルは46.4%のシェアを獲得して昨年に引き続き1位を堅持。マイクロソフトは15.5%で3位だが、Windowsベースでは初めて1位を獲得した。
ちなみに、日本オラクルの新宅正明社長は9月3日の会見で、自社の国内シェアは今55%との認識を示し、「早い段階で60%に引き上げたい」との意気込みをみせた。調査会社によってシェアの数字に違いはあるが、いずれにしてもオラクルの揺るがぬ牙城をどこが切り崩せるか、というのが勢力争いの構図であることは明らかだ。
果たして11gで一大攻勢に打って出たオラクルに死角はあるのか。データベース管理ソフト市場のサバイバル競争がますます激化することは間違いなさそうだ。
(「月刊アイティセレクト」2007年11月号のトレンドフォーカス「有力ベンダーが新展開 データベース市場のサバイバル競争が激化」より)
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