「問題管理」でITサービスの貢献度を向上させる:初心者歓迎! ITIL連載講座(4/4 ページ)
今回は「問題管理」を解説する。インシデントの根本原因の究明とその恒久的な解決を目的としたプロセスだ。
プロアクティブな問題管理
問題コントロールとエラーコントロールは、すでに発生したインシデントへの対策であり、いわばリアクティブ(受身的)な活動である。問題管理においては、インシデントのトレンド分析を行ったり、ハードウエア/ソフトウエアベンダが提供する情報を元にしたりして、将来発生するであろうインシデントをプロアクティブ(積極的)に予防する活動こそが大事である。プロアクティブな問題管理が進むと、結果的に発生するインシデントの数が減り、リアクティブな活動も減る。IT運用部門の残業は減り、余った時間でさらにプロアクティブな活動を行える。また、IT運用部門への信頼も向上し、ITサービスへの期待がさらに高まって、より多くのIT投資が得られるかもしれない。ITサービスが成熟すればそれだけビジネスへの貢献度が増し、ビジネスそのものが成熟することは間違いない。プロアクティブな問題管理こそ、問題管理の真髄である。
問題管理のKPI
問題管理がうまくいっているかどうかを評価するためのKPI(重要業績評価指標)には、次のようなものが考えられる。
- 解決された問題の件数
- 解決策の適用によって解決されたインシデントの数
- インシデントの発生件数
- ITサービスのダウンタイム
- クローズされないで残っている問題の数
- 問題が解決されるまでの平均時間
- 目標時間内に解決できなかった問題の数
問題管理が成熟すると、インシデントの総数やITサービスのダウンタイムが減り、結果的にビジネスに対するITサービスの貢献度が向上する。IT運用部門は日々の火消し作業から解放され、インシデントの予防策により注力できるようになる。つまり良いことずくめなのだ。
そのためには、いままで紹介したサービスデスク、構成管理、インシデント管理がしっかりしている必要がある。ITILの各プロセスは、密接に関係しているのだから。
※本連載の用字用語については、ITILにおいて一般的な表記を採用しています。
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