失敗から学ぶ――新たなビジネス分析ツールは何が違う?:新境地に挑むマイクロソフト(2/2 ページ)
再びCRMが注目されている。マイクロソフトは「ダイナミクスCRM」を発売して以来、大企業から中小企業に至るまで海外では1万社以上の導入実績を持つ。市場ニーズが高まる理由とは……?
ダイナミクスCRMの売れ行きは海外で好調に伸びている。特に製造、生保などの分野でグローバルに展開する企業が海外で採用するケースが増えている。
06年までの導入実績は40万ライセンス、1万社以上。ダイナミクスCRMの投入でユーザー企業数は(以前のCRMソリューション時の)倍以上に増えている。顧客層を見ると、大規模な有名企業から無名の小企業までと幅広い。オラクルの「シーベル」のような億(円)単位の投資が必要な製品とは顧客層が異なり、中小企業での採用が進んでいるのが特徴だ。
SFAに代わる再注目のCRM
なぜ、再びCRMに注目されるのか。インターネット、携帯電話、モバイルデバイスの普及により、顧客は営業担当と対面でコンタクトするだけではなく、ウェブサイトを通じてマーケティング部門にアクセスしたり、電話でコールセンターに問い合わせたり、電子メールを使ってサービスセンターにクレームを上げるなど、多様なチャネルを使ってコンタクトしてくるようになったからだ。そのため、各部署は、顧客がどのような問い合わせを寄せ、どういう状態にあるのかといった情報を共有する必要がある。
ダイナミクスCRMの標準機能は「マーケティング」「営業支援」「顧客サービス」の3つ。マーケティング機能は、キャンペーンなどリードを増やすことを支援する。営業支援機能は、いわゆるセールス・フォース・オートメーション(SFA)系の働きを、顧客サービス機能はコールセンターやフィールドサービスの支援を、それぞれ果たす。
コールセンターやフィールドサービスの仕組みは、電話が入った後の業務をそのままITに置き換えたものであるため成功させやすいが、SFAをうまく使っている会社はごくわずかしかない。吉田氏は「ダイナミクスCRMは、従来うまくいかなかったSFA(を機能させるの)に適した製品」と語る。
マイクロソフトは、ダイナミクスCRMのセールスポイントとして「操作性」「可視性」「拡張性」を挙げる。デスクトップ製品の「オフィス」との連携により使い勝手が良いことや、BI(ビジネス・インテリジェンス)で分析する際、新たにBIを導入する必要はなく、プラットフォームに組み込まれたSQLサーバのBI機能を使えるメリットがある。
シーベルの分析モジュールを使う場合には別途、千万(円)単位の費用がかかるが、そうした追加ライセンスが発生することはない。さらに、顧客の業務に合わせたカスタマイズ性が高いという特長もある。
(「月刊アイティセレクト」2007年11月号の「トレンドフォーカス 新境地に挑むマイクロソフト ビジネスアプリの使い勝手はいかに」より)
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