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サービスレベル管理――「不幸なSLA」を締結しないために:初心者歓迎! ITIL連載講座(5/5 ページ)
ここまではITILにおける「サービスサポート」のプロセスを解説してきたが、これからは「サービスデリバリ」に関するプロセスを紹介する。「サービスデリバリ」は、ITサービスがどのように事業に対する要求に応えるか、ということを中長期的にマネジメントしていく手法だ。
サービスレベル管理のKPI
サービスレベル管理のKPI(重要業績評価指標)を策定することは難しいが、一般には次のようなものを参考にすれば良いだろう。
- SLAの合意目標を達成しなかった割合
- OLA、UCがSLAの合意目標にそぐわなかった件数
- スケジュール通りにSLAがレビューされた割合
- SLAの変更を必要とした件数
- SLAによってカバーされていないITサービスが発生した件数
- 顧客満足度、ユーザ満足度
最も不幸なのは、顧客側や外部サプライヤなどの圧力に屈して、実現不可能なSLAを締結することである。例えば外部サプライヤは平日の9時から17時までしかサポートしないと言っているのに、顧客側は24時間サポートしろ、と板ばさみになった場合や、予算の関係でIT構成の多重化が行えなかったにもかかわらず高可用性を要求された場合などである。
逆に、プロバイダ側がビジネス要求を無視して「ここまでしかサポートできません」と上限を押し付けてしまうのも、結果的に両者を不幸にする根源となる。サービスレベルマネジャーは、ビジネス要求と実際のサービスレベルが整合し、お互いの合意をきちんと得られるよう努力しなければならない。
※本連載の用字用語については、ITILにおいて一般的な表記を採用しています。
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