モチベーションは上げようとするな、維持させよ。:人心掌握の鉄則(2/2 ページ)
明らかにやる気が落ちている、意欲的でない人に対しては、どうしても「モチベーションを上げるには」と対処法を考えてしまう。しかし上げようと無理をするのではなく、本来のレベルに戻そうというぐらいがちょうどいい。
現場の仕事に即した行動指針を
モチベーション低下をできるだけ抑える方法にはどんなものがあるのだろう。
齋藤氏は会社が個々のスタッフに対してどんなメッセージを発信するかが大切だと説く。会社のメッセージでモチベーションは維持できるのだろうかと問うと齋藤氏は次のような話をしてくれた。
「いわゆる『社是』といったもの以外にその会社で働く人の行動指針を作っていて、その指針が現場の人たちの現実の行動にマッチしている、そういう会社の人たちはおおよそ元気があって、社内外のコミュニケーションも活発です。わたしたちは人材に関するコンサルティングを行っていますが、その中での経験でも会社が発信するメッセージというものは大きな影響力を持っているんですよ」
これは、前に挙げた5つの欲求でいえば、『自己成長』『意味欲求』『創造性発揮』などに影響を与えるものなのかもしれない。行動指針に常に立ちかえることで、自分にとっての成長とは何か、働く意味とは何か、創造性を発揮するとすればどんなものがあるか、ということを再認識することができるからだ。
マネジャーから新入社員まで、誰でも懸命に働けば働くほど、さまざまな迷いが増えてくる。モチベーション低下はちょっとした迷いから起こる。小さな迷いを放置していると、袋小路から抜け出せなくなる結果にもつながる。各人が持っている「本来のモチベーションへの回帰」の道を探るのが近くにいるマネジャーの仕事なのかもしれない。
「月刊アイティセレクト」2007年11月号 特集「モチベーションコントロールに役立つ 人心掌握術の鉄則」より)
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