富士通、DBをリアルタイムで完全同期できる製品を発売
「昼間でも業務を止めずにサーバの保守作業ができる」――独自のミラーリング技術でこれらを実現する富士通のデータベース管理を行うミドルウェアのオプション製品「Symfoware Server Mirroring Controller」が発売される。
富士通は11月1日、リレーショナルデータベース管理を行うミドルウェア製品「Symfoware」のラインアップに、待機系のサーバを情報系データベースとしてリアルタイムに活用できるオプション製品「Symfoware Server Mirroring Controller V9」を追加し、同日から発売すると発表した。
「双子のデータベースで、サーバ、ストレージ、データがそれぞれ独立するシンプルな構成を持ち、同時にダウンしない」――同社ソフトウェア事業本部データマネジメント・ミドルウェア事業部の山口正人プロジェクト部長は、Symfowareの特徴をこのように説明する。
同製品は、それぞれ独立したストレージ、データベースを持つ正副2系統のデータベースシステムにおいて、同社独自のミラーリング(二重化処理)技術を用いることで、リアルタイムな同期を可能にするもの。
ポイントとなるのはミラーリングの処理にストレージシステムのコピー機能を用いていること。リモートミラーリングをディスクアレイ間で行えるREC(Remote Equivalent Copy)と呼ばれる機能をサポートしたディスクアレイ「ETERNUS 4000」「ETERNUS 8000」が必須となるが、データベースサーバのCPU負荷は大きく下げることができる。
加えて、DBMSのトランザクションログからレコード単位のログ(論理ログ)という最低限の情報を高速に作成可能にすることで、リアルタイムでの同期を実現している。
この構成では常に副サーバシステムが活性状態であり、保有するデータも正サーバシステムと一致するため、それを検索系などの処理に割り振ることなども可能で、業務アプリケーションによる更新系のトランザクションを処理する正サーバに負担を与えることなくリアルタイムな情報の参照/分析が可能となる。
また、正サーバやそのデータベースに問題が発生した場合も、正から副へのフェイルオーバーが高速に行えるほか、問題が発生したデータベースもログ補正機構によって等価性が保証された形で復旧させることができるという。同社の検証モデルでは、異常を検知してからフェイルオーバーの完了に必要な時間は約1秒だったという。「Symfoware Server Mirroring Controllerを使うと極端な話、業務が行われる昼間でも保守業務ができる」(同氏)
同社のUNIXサーバ「SPARC Enterprise」「PRIMEPOWER」「S series」やIAサーバ「PRIMEQUEST」を使っているユーザーをターゲットとする同製品は、1CPU当たり300万円。「Symfoware Server Enterprise Edition V9.1」「同 Extended Edition V9.1」「Symfoware Server Connection Manager V9.1」「ETERNUS SF AdvancedCopy Manager 13.0」以降なども必要となる。
出荷は11月12日からで、Red Hat Enterprise Linuxに対応したもののみ2008年2月に提供される。同社は今後2年間で300のプロセッサライセンスの販売を目指す。
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