神出鬼没の「PCに詳しい人」の正体:女性システム管理者の憂鬱(4/4 ページ)
初心者ユーザーのサポートで、七不思議の1つになっている「PCに詳しい人」。彼らは状況を余計に悪化させることが多い。そんな人は現実にもいたりする。
わたし:「たとえ1Mバイトのファイルでも、メールは一度本社側のメールサーバに送られてから、この拠点のユーザーに配信されるんです。少なく見積もっても、拠点全員分として200倍になる計算です。1Mバイトのファイルは200Mバイトになって返ってくることになるんですよ。一体どれくらいのサイズのものを送ったのですか?」
A:「えっ、メールサーバって本社にあるの? 知らなかった。添付ファイルのサイズの見方も知らないし。気にしたこともなかった。それは申し訳ないことしちゃったね」
悪気がないにしても、拠点内ユーザーに迷惑をかけたのは事実だ。Aさんはそのことに気付くと、すっかり落ち込んだようだった。
わたし:「仕事で必要だったんだから、仕方ないですよね。でも、これからは一言相談してくださいね。メールじゃなくて、拠点内のWebサーバを使うとかファイル共有とかいろいろ方法はありますから」
すべては富士山のために
気の毒になったわたしはそう声をかけ、後はこちらで全部対処するからと励まして電話を切った。原因ははっきりしたが、ネットワークの混雑を解消するくらいしか対処の方法はない。わたしは、各部署を回って、送受信を何度もトライせずに時間をおいてしてもらうように依頼した。
それから1時間もしないうちに、ちらほらとダウンロードに成功するユーザーが出てきた。
「何だよ、これ」
そんな声があっちこっちで上がっている。わたしのPCでもようやくメールのダウンロードが完了した。やはり、1通目はAさんからのものだ。件名は「お仕事中失礼します」とある。開封してみて驚いた。そこには、立派な富士山の写真が添付されていたのだ。10Mバイト近いサイズのものだ。そして、そのメールにはメッセージも添えられていた。
「本日は、富士山がとても美しい姿を見せてくれました。みなさんにも見てもらいたいので、メールで送ります。疲れている心も元気になりますよ」
Aさんは、25階のオフィスから見る富士山の美しさに心を打たれ、その喜びを拠点メンバー全員と共有したいと思ったのだろう。みんなの役に立ちたい、人を喜ばせたい――そう思うと、いてもたってもいられず、持っている知識を総動員して行動を起こしたAさんに、「PCに詳しい人」のイメージがだぶって見えた。
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