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ビジネス要件を満たすため、ITは何ができるのだろう?今日から学ぶCOBIT(2/3 ページ)

COBITにおける「4つのドメイン」について解説する。

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計画と組織

 計画と組織(Plan and Organization)は、略してPOと称される。ITを構築するための戦略や戦術を考え、それを実現するための組織や技術的なインフラを整備する段階である。ビジネスとITを融合させる第1段階である。

 POドメインの役割は、次のことを確認・保証することである。

  • IT戦略とビジネス戦略との整合性はとれているか
  • 企業はIT資源を最大限に活用できるように組織化されているか
  • 組織の全員がITの目標を理解しているか
  • ITのリスクは理解されているか
  • ITの品質はビジネス要件から見て妥当か

 POでは、これらを満足するために、10個のプロセスが用意されている。

  • PO1 IT戦略計画の策定
  • PO2 情報アーキテクチャの定義
  • PO3 技術指針の決定
  • PO4 ITプロセスと組織及びそのかかわりの定義
  • PO5 IT投資の管理
  • PO6 マネジメントの意図と指針の周知
  • PO7 IT人材の管理
  • PO8 品質管理
  • PO9 ITリスクの評価と管理
  • PO10 プロジェクト管理

 投資の管理、人材の管理、品質管理、リスク管理などのプロセスがここに含まれているほか、プロジェクト管理が記されている。システム開発などにおけるプロジェクト管理はPMBOKで詳細に記されているが、COBITはITガバナンスを成功させるという観点でのプロジェクト管理を規定しているため、PMBOKとはまた違ったアプローチをしており、参考になる。

 これらのプロセスの詳細は、第8回で述べる予定である。

調達と導入

 調達と導入(Acquire and Implement)は、略してAIと称される。ビジネス目標に見合ったITソリューションを特定し、必要に応じて開発/調達して、それを導入するプロセスである。また、既存システムをビジネス目標に合うように変更することもここに含まれる。

 AIドメインの役割は、次のことを確認/保証することである。

  • 新規プロジェクトは、ビジネス上必要なソリューションを提供できそうか
  • 新規プロジェクトは、予定どおりの期日に、予算の範囲内で実現できそうか
  • 新規システムは、導入後適切に機能するか
  • 変更は、現在のビジネスに悪い影響を与えることなく行われるか

 AIでは、これらを満足するために、7個のプロセスが用意されている。

  • AI1 コンピュータ化対応策の明確化
  • AI2 アプリケーションソフトウェアの調達と保守
  • AI3 技術インフラストラクチャの調達と保守
  • AI4 運用と利用の促進
  • AI5 IT資源の調達
  • AI6 変更管理
  • AI7 ソリューションおよびその変更の導入と認定

 ビジネスに必要な情報の確保のうち、どこをIT化するか、それをどのように調達するか、既存のIT環境を問題なく変更するにはどういったプロセスが必要か、といたことが記されている。また、ITILでいうところの変更管理はここに含まれる。

 これらのプロセスの詳細は、本連載の第9回で述べる予定である。

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