【第2回】業務の効率化を導くチェックリスト:サービスマネジメントに新たな波(2/2 ページ)
ITILの導入が社内スタッフの教育や管理体制を促進し、縦割りだった企業サービスを水平化させる原動力になるという。
サービス至上主義こそITILの真髄
ミシガン州オークランド郡のITを運用するCIOのフィル・バートリーニ氏は、ヘルプデスクが必ずしも常に有効であったわけではないと話す。2002年まで、オークランド郡のユーザー(61市町村の職員)は、問い合わせ先の電話番号がいくつもあり、どこにかけるべきかいつも混乱していた。一方、バックエンドではスタッフが足りず、プログラマーまで動員してユーザーからの電話に応対していた。
バートリーニ氏はそうした状況の中で、ITILに活路を求めた。そこには、可能な限り迅速かつ苦痛を感じさせずにインシデントを解決する一連の手順を習得したスタッフと専用回線を配した新しいサービスセンターの設計図があった。他のステップ(「ITILチェックリスト」を参照)とともに、問題解決率や社内移動、全体的なサポートタイムをチェックするため、バートリーニ氏は一連の測定基準を作成した。
「スタッフは十分訓練され、プロセスの応答性は高まり、インシデントは管理可能になった。われわれのやり方は大きく変わった。確実によい方向へ向かっている」とバートリーニ氏は語る。
サービスサポートの書籍は、ITサービスのユーザーにスポットを当てているが、サービスデリバリの書籍は、ITをビジネスとして利用する顧客に力点を置く。この書籍は、ビジネス要求に対してITプロバイダーが適切なサポートを提供するためのベストプラクティスを議論している。基本的には、サービスレベル管理、キャパシティ管理、ITサービス継続性管理、可用性管理、財務管理の5つの領域のプロセスで構成される。
サービスレベル管理の部分では、サービスレベル契約(SLA)に記載されたITサービスのレベルを確認、監視、レビューすることを推奨し、それらをセットアップするためのフレームワークを提供している。またSLA契約を結ぶ前に、ベンダーに質問すべき項目についてもアドバイスしている。
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