常套句「酒は飲んでも飲まれるな」:ビジネスマンの不死身力
ビジネスマンの資本は健康です。「不死身力」があれば壁を乗り越えられます。花見や歓迎会など人が集まる機会が多いこの季節といえばお酒。今回はアルコールとの付き合い方を考えます。
多くの会社で4月は新年度の始まりです。新入社員が入ってきたり異動があったりと、ビジネスマンにとっては節目の季節です。
この時期は、花見や歓迎会など何かと飲む機会が増えます。時節柄仕方ないとはいえ、翌日に二日酔いでフラフラしていたり、酔っ払って失態を演じたりでは、ビジネスマンとして失格の烙印を押されてしまいます。
記憶をなくすほどの泥酔は論外としても、二日酔いなどを避けるためには、どのようにお酒と付き合えばよいでしょうか。ここでじっくり考えてみましょう。
飲み会のある日は、事前に体調を整えておくことが大切です。新年度であわただしいこの時期はただでさえ疲労が蓄積しているはず。さらに、連日連夜の飲み会となれば、なおさらのことです。疲れているときはいつも以上に酔いが回りやすいので、より注意が必要です。
基本ではありますが、特に飲む予定が入っていない日ならば、できるだけ晩酌は避け、いわゆる「休肝日」を作ることが肝要です。休肝日の取り方のコツは、1日おきなどの短いスパンでとるよりも「3日間はまったく飲まない」など連続して取ることです。その方が効果が高いのです。
よく「最初の一杯をおいしく飲みたいから」と、事前に水分をギリギリまで我慢する人がいます。ところが、アルコールは水分以上に体への吸収が早いため、そのような脱水状態のままお酒を飲むと、一気に酔いが回ってしまいます。あまりに極端な水分制限はやめましょう。
空腹のままお酒を飲むと酔いの回りが早くなることがよく知られています。これはその通りで、すぐに酔っ払ってしまうだけではなく、アルコールが直接届くため、胃の粘膜を荒らしてしまう場合もあります。飲み会の最中は、「食べながら飲む」ことを心掛けましょう。
おつまみは、可能な限りバランスよく食べたいものです。酒の席では、どうしても油っぽいものが多くなりがちですが、毎晩このようなものを大量に食べるのは、お勧めできません。
逆に、積極的に食べたいのは、おつまみの定番である枝豆や冷やっこ、刺し身などの魚類です。これらの高たんぱくの食材には、肝細胞の再生を促進し、アルコールの代謝を活性化する働きがあります。また、ビタミン類や食物繊維のとれる野菜類もたっぷり食べましょう。
お酒を飲むときは、アルコールの度数にかかわらず、チェイサー(お酒と交互に飲むノンアルコール飲料)を挟むようにします。チェイサーは水に限らず、ノンアルコールのものなら何でもOK。お酒とチェイサーを交互に飲むよりは、あらかじめ水や炭酸などで割ってから飲む方が、アルコールの体への負担はより少なくなります。
いろいろなアルコールを混ぜこぜに飲むことを「チャンポン」などと言ったりします。酔っ払いやすい飲み方といわれますが、意外なことに、酔いの早さとの直接の因果関係はありません。チャンポンにしようが、一貫してビールを飲もうが、アルコール量が限界点を越えたら、結局は酔っ払ってしまうのです。
問題なのは、いろいろな種類を混ぜることで、自分がどれくらい飲んだのか、よく分からなくなってしまうこと。さらに、お酒が変わることで、味覚が新鮮に感じられるため、さらに飲みたくなってしまうという面もあります。そう考えると、やはりチャンポンは避けた方が無難です。
社内の飲み会は、正直なところ義務で参加するようなこともあるかもしれません。でも、どうせ酒の席につくなら、おいしく、楽しく飲みたいものです。
何をどんなふうに飲むか気をつけることも大切ですが、職場の人とゆっくり会話を楽しむようにすれば、あれこれ腐心しなくとも、自ずと適度なペースで飲むことができるでしょう。日々一緒に仕事をする人と少しくだけて話ができる酒の席が、貴重な場であることは間違いありません。
著者プロフィール:吉岡享子
料理系雑誌の編集者。食や栄養に関するテーマを中心に記事を書いている。趣味は料理だが、実はかなりの偏食傾向あり。「紺屋の白袴」とはまさにこのことか。
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