経営管理情報を迅速に分析してリスクコントロール体制を整備:事例 建設会社の経営管理情報活用(2/2 ページ)
安藤建設は、2000年5月に「業務革新プロジェクト」をスタート。その一環として、2006年5月に情報系システムを再構築し、情報活用を進めている。
営業現場での活用も視野に
新情報系システムでは、検索のパフォーマンスが大幅に向上。従来と比べて1/10のスピードで欲しい情報を取り出せるようになり、ユーザーの評価も上々だという。
原価管理面で見逃せないのは、原価情報の把握が容易になったことだろう。原価情報の把握が困難だと、利益悪化の発見がワンテンポ遅れるという事態が起こりうる。しかし、今回のシステム再構築により、異常値をいち早く察知して対応するリスクコントロールの体制が整った。
また操作性が向上したことで、一般ユーザーも利用を開始。今後はさらに詳細な工事情報を蓄積して、ユーザーの裾野を広げていく考えだ。
「例えば屋上にプールのある学校を何件手掛けたのか、過去に手掛けた劇場の客席数はいくつだったのかといった情報を営業マン自身が容易に取り出せれば、営業活動に大いに役立つはずです。ただ、詳細な情報を集めると、入力する手間が増えて利用が広がらない恐れもあります。効果と負担のバランスを考えながら、定着させることに努めなくてはなりません」と森田氏。
今後、同社がどのように情報を活用していくのか、引き続き注目していきたい。
導入効果を聞く――システム開発保守の内製化で、開発期間が半分に
ITmedia 選定の理由は?
森田 ツールの選定に当たっては、データ処理のパフォーマンスが良いこと、機能がシンプルで安価なこと、検索項目の数に制限がなく、複雑な検索条件の指定が可能なことなどが条件でした。数社のツールを比較検討した結果、最終的に選んだのは「Dr.Sum EA」でした。
ITmedia 導入時の苦労は?
庄司 経営企画部から要求があった、事業計画システムの構築と「Dr.Sum EA」との連携部分の要件定義に少し時間を要しました。それでも短期間で構築できたので、基幹システムの本格稼働から大きく遅れることなくさせることができました。
ITmedia 運用面ではいかがですか?
森田 従来は、ユーザーのニーズに合わせたシステムの開発変更は外注していましたが、現在は内製しています。以前に比べて半分の期間で開発ができます。これからわたしたちの習熟が進めば、もっと短期間でカスタマイズできるようになるはずです。
ITmedia 今後の展開は?
庄司 現在はどちらかといえば経営企画部がメインユーザーのシステムになっていますが、今後は営業や工事の現場での活用も提案していきたいですね。また、ダッシュボードで情報の可視化ができる「Dr.Sum EA Visualizer」を組み込んで、経営層が迅速に経営情報を把握できる仕組みを整えることも検討しています。
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