Solstice Backup 7.1によるディスクバックアップ:UNIX処方箋
現場ですぐに役立つ知識を欲するあなたに贈る珠玉のTips集。今回は、Solstice Backup 7.0から追加されたAdvanced DiskBackupでディスクバックアップを行う際のポイントを解説する。
現在、Solaris 9上でSolstice Backup 7.0を使用しています。Solstice Backup 7.0からの機能であるAdvanced DiskBackupを用いてバックアップ環境を構築しているのですが、1つ困ったことがあります。バックアップ対象ディスクのボリュームがフルになってしまった際に、手動でデータをリサイクル(削除)する方法が分からないのです。
通常は、有効期限の切れたデータ(セーブセット)から自動的に削除され、容量が不足することはありません。しかし、バックアップ対象データが非常に増えてしまった場合に、リソース不足によってバックアップが停止(待ち状態)してしまい、正常に行われません。そこで、一番古いバックアップデータを手動でリサイクルしようと試みました。
しかし、テープライブラリを使用していた際には、メディア単位でテープメディアをリサイクルできたのですが、ディスクバックアップでは、特定セーブセットのみをリサイクルする方法が分かりませんでした。これは、どのようにすると行えるのでしょうか?
Solstice Backup 7.0から追加されたAdvanced DiskBackupオプションでは、ディスクバックアップの機能が強化されています。従来のディスクバックアップでは、完全な自動化を行えなかったのですが、Advanced DiskBackupになってから有効期限の切れたセーブセットを自動的に削除し、新たに容量を確保してくれるようになりました。ただし、ご質問のように従来のライブラリとの扱いが異なりますので、不便と感じる部分もあると思います。
通常、テープライブラリなどでバックアップを自動化する際には、ライブラリ内の古いテープメディアを自動的にリサイクル対象とし、再ラベリングして使用することでバックアップの完全自動化を実現します。このとき、リサイクルはメディア単位で行われます。
一方、Advanced DiskBackupでディスクバックアップを行う際には、バックアップを保存するディスク領域は1つのメディアのように扱われるため、メディア単位でのリサイクルは行えません。通常は、自動的にセーブセット単位でリサイクルされているため管理する必要はないのですが、今回のように容量が足りなくなった場合には、手動で行う必要があります。そこでここでは、nsrmmコマンドを用いて、特定のセーブセットを手動でリサイクルする方法を説明します。
リサイクル対象セーブセットの検索
まず、バックアップされているデータの中から、次の手順でリサイクルしても良いセーブセットを探します。
- nwadmin管理画面を起動
# nwadmin
- [セーブセット]メニューから、[リカバリ...]を選択し、「セーブセットのリカバリ」ウインドウを開く
- リサイクルしたいセーブセットをダブルクリックして「セーブセットリカバリ詳細」ウインドウを開き、表示されているSSIDを記録する
リソース使用状況の確認
次に、リソース使用状況を確認します。現在使用しているリソースを調べるには以下のようにmminfoコマンドを実行します。
# mminfo -m
ボリューム 書込済 (%) 期限 読取済 マウント 容量
test.001 921 MB 100% 05/03/11 0 KB 2 0 KB
test.001.RO 0 KB 0% 05/03/11 0 KB 2 0 KB
セーブセットのリサイクル変更
リスト1のnsrmmコマンドを使って、前述した手順で探したセーブセットをリサイクルに変更します(実行例1)。そうすると、リサイクル可能にしても良いかどうか尋ねられるので、よく確認した上で「y」を入力します。
nsrmm -o <recyclable/notrecyclable> -v -s <バックアップサーバ> -y -S <SSID>
# nsrmm -o recyclable -v -s backupserver -S 4263852921
セーブセット4263852921 をrecyclable としてマークしますか? [y or n を入力]
リサイクル対象領域の削除と確認
次に、nsrimコマンドで不要な領域(リサイクル対象領域)を削除し、mminfoコマンドで確認します(実行例8)。
# nsrim
# mminfo -m
ボリューム 書込済 (%) 期限 読取済 マウント 容量
test.001 818 MB 100% 05/03/11 0 KB 2 0 KB
test.001.RO 0 KB 0% 05/03/11 0 KB 2 0 KB
以上で、書き込み可能なボリュームが確保され、バックアップが可能になります。ただし、この方法は一時的な容量確保に過ぎず、根本的なリソース不足対策とはいえません。有効期限を変更するなど根本的な解決を早めに行ってください。
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