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丸投げ力――先進ユーザーは知っているシステム導入の王道か(1/4 ページ)

システム導入を専門企業に任せきりにする、いわゆる「丸投げ」は通常は推奨されない。だがユーザーの声を拾ってみると、実はそうでもなさそうだ。

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この記事はオンライン・ムック中堅中小企業の経営基盤改革術のコンテンツです。


 会計処理ソフトや販売管理ソフトなど、なんらかの業務アプリケーションを導入していない企業は今やあまりない。ところが統合的なERPパッケージとなると、まだまだハードルが高いと感じている企業も多いようだ。特に中小規模の企業では、情報システム部門の人員も少なく、大規模なERPにどんなスキルを持った人間がどのように取り組めばいいのか分からない企業も多いかもしれない。

 とはいえ、昨今は中小規模の企業でも、大手企業と取引する上では厳しい内部統制の水準を確保しておく必要がある。解決策の1つがERPの導入だと考えている中小企業もあるかもしれない。そんな背景もあってか、かつては大手企業向けで高コストというイメージの強かったSAPやOracleなどの大規模統合ERPを中小企業が先進ユーザーとして導入し、ビジネスに生かする例が出始めている。

 取材を通じて、中小企業でも大規模なERPを導入し、成功させるためのヒントを見つけた。

 1つの成功例として、事前に自社の要件に合うパッケージを選ぶ作業に注力した企業がある。ERPは高い買い物なので失敗しないよう購入前に調査し、製品を比較する。多くのベンダーに会い、イベントやセミナーにも参加する。「これは」と感じた製品については随時提案してもらう。最初はERPにかんする知識も少ないのだが、時間を掛けてさまざまなパッケージ製品に触れていくうちに、担当者にかなりの知識が蓄積された。結果的に自社の状況に合う製品を選択する判断力が身についたという。ポイントは「自分たちは専門家ではないから分からない」と最初から及び腰になるのではなく、分からないからこそ自分たちでも理解できる情報の提供をベンダーやシステムインテグレーターに求め続けることだ。

 だが、パッケージ製品を提供しているベンダーから情報を受けるだけでは正確な判断ができないという。製品ベンダーは自分たちの提供する製品では「何ができるか」という話を中心にする。しかしながら、製品選択で重要なのはその製品では「何ができない」かということ。パッケージ製品で実現できないことは、追加開発となるのか、あるいは自社のビジネスプロセスを修正してパッケージに合わせるかの判断をしなければならない。追加で開発するとなれば、すぐにコスト増に直結する。

 一方、ビジネスプロセスの修正となれば、全社を巻き込む大きな動きになる可能性もある。パッケージ製品を見極める際には、何ができるかではなく何ができないかを正確に把握する必要があるのだ。

 パッケージでできないことにかんする情報を得るには、前述の通り製品ベンダーの情報では不十分だ。ベンダーに中立的な立場を取り、経験豊富なシステムインテグレーターを見つけ、偏見のない情報提供を求めるパートナー企業との関係作りが鍵となる。パッケージ製品を正確に見極められる知識を蓄積できれば、その後の導入がスムーズに進む可能性は高まる。

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