「インターネットの認証基盤に注力する」――ベリサインの古市新社長が会見:電子証明書の普及へ
日本ベリサインの古市克典新社長兼COOは、電子証明書へのさらなる普及に注力する方針を表明した。
日本ベリサインは6月26日、社長兼COOに就任した古市克典氏ら新経営陣による記者説明会を開催した。古市氏および米Verisignと日本ベリサインの会長職を兼務するジェームズ・ビソス氏が日本市場について抱負を語った。
古市氏は1984年にNTTに入社し、システムインテグレーション事業や長距離通信事業に携わった後、日本ルーセント・テクノロジー(現日本アルカテル・ルーセント)で営業やマーケティング分野を担当。インターネットサービスのレベルスリー・コミュニケーションズおよび経営コンサルティングのPRTMマネジメント・コンサルタントを経て、6月1日付け日本ベリサインの社長兼COOに就任した。
今後の経営方針や事業計画の詳細は7月に発表するとしていおり、古市氏は「通信ネットワーク分野の経歴を生かし、国内で注目されつつあるインターネットの認証分野に積極的に取り組みたい」と話した。
ビソス氏は、「日本の通信市場は米国以上に先進的であり、非常に期待している。日本ベリサインはVerisignの連結子会社であり、このような体制は他国では採用していない。私自身が日本法人の会長職を努め日本での事業に力を入れる」と話した。
ビソス氏は今後、SSL電子証明書とドメイン名管理、ID保護の3分野に注力するとし、「これらの統合化を図っていく」と説明。特にSSL電子証明書分野では、Verisignおよび2006年9月に買収を完了したGeoTrustの事業を連携していく方針だという。
日本ジオトラスト社長兼CEOの平岩義正氏(日本ベリサインマスマーケット営業本部長補佐)は、小規模事業者向けのSSLサーバ証明書サービスに注力する考えを明らかにした。「小規模事業者やSOHOの多くが電子商取引に取り組んでいる。ユーザーもWebサイトの安全性を重視するようになり、低価格なSSLサーバ証明書ニーズが高まりつつある」(平岩氏)
平岩氏によれば、ジオトラストのドメイン認証はWebサイト運営企業の存在自体を証明するVerisignほど、セキュリティレベルは高くないものの、暗号化通信に対応し、証明書発行までの期間の短さや有効期限の長さ(最長6年)、コスト面で小規模事業者に適しているという。
販売体制では同社からの直接販売に加えて、日本ベリサインの販売代理店を通じた間接販売も始めた。平岩氏は、「国内のSSLサーバ証明書は、ベリサインが約6万枚、ジオトラストが約1万枚を発行しており、両社のブランド力も浸透しているようだ」と話し、SSLサーバ証明書の拡大を目指すとしている。
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