大地震が発生! その時、管理者(あなた)は……?:良い管理者 悪い管理者 普通の管理者(6/6 ページ)
災害対策――このキーワードを意識したことがないシステム管理者は少ないだろう。しかし実際には、備えが後手に回ってはいないか? 「良い・悪い・普通」のケースで、ベストな対応を考えてみよう。
定期的な予行演習を実践
対策マニュアルは、定期的に改訂しており、予行演習として正月と5月の連休を返上して訓練を行った。訓練は、ひと通りの成果を上げたため、今後は1年に一度、防災訓練を社内行事として組み込むことにしていた。5月の訓練は、本番さながらにマシンルームのメイン電源を落とし、無停電電源装置の容量とシャットダウンまでの時間もテストした。シャットダウンスクリプトは、訓練のときに発案されたものである。
予行演習の結果、机上ではうまくいくものの、現実にそぐわない部分を修正したところだった。さらに万一、連絡が取れない場合には、NTTの災害伝言ダイヤル「171」を使って連絡をする取り決めもされていた。
災害時の決済代行にも、順位が取り決められている。東京で災害があった場合は、大阪支店長が手続きを代行することになっている。そのため、社員の給与振り込みも、大阪に複製されている給与明細を元に遅滞なく支払われるだろう。
対策マニュアルに従って、次々と届く報告メールで状況を把握しながら、神田は東京本社のシステムがダメージを受けても、システム全体に大きな影響がなかったことを確信した。しばらくは大阪の管理者は大変だろうが、東京の復旧を考えれば、それくらいはお願いしてもよいだろう。
ハードウェア自体に大きな損傷がないことを確認した神田は、マシンルームを出てオフィスの片づけを手伝いながら、メールがうまく飛ばなかったシャットダウンスクリプトの問題点を考え始めていた。
良い管理者への心得五箇条
一、日ごろから災害時の対処をマニュアル化する
一、マニュアルが実際に役立つか、定期的に予行訓練を行う
一、訓練の際の問題点を改良する
一、復旧の優先順位を決めておく
一、できるだけ自動化する
※本記事は、月刊サーバセレクトに掲載された記事を再編集したものです。
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