可視化、管理、自動化の3段活用でITSMを最適化――Tivoli:ITSM=単なる運用ではない
Tivoliは「VCA(Visibility、Control、Automation)」というキーワードに基づき、サービスマネジメントの最適化を図るという。
IT部門とユーザー部門でサービスマネジメントの共通理解を
日本IBMは7月22日、米国フロリダで開催されたTivoliユーザーカンファレンス「Pulse2008」のサマリーを日本のユーザー向けに紹介した。日本IBM Tivoli事業部 久納信之氏は、ユーザー企業がシステム運用に対し抱える課題を3つの観点に分類する。それはサービスマネジメント、SOA、グリーンだという。
特に(IT)サービスマネジメントにおいては、欧米圏では一定の共通定義が存在するのに対し、日本では運用、あるいは開発など当事者が携わっている分野によって解釈そのものが異なってしまうケースが多いと久納氏。ではあるべきサービスマネジメントの定義とはどのようなものか。
「そもそもIT部門のコスト負担をしているのは、ビジネスレイヤーの人びとだ。彼らにとっては、IT部門側の“縦割り事情”は関係のないこと。例えばネットワークに障害が発生した際、ストレージ管理者が“自分の責任ではない”と発言してしまうような環境は改善されるべき。ビジネスレイヤーの人びとにとってサービスとは、全てのIT要素に横串を通した環境で提供されるものなのだから。つまりサービスマネジメントとは、ITによってビジネスに価値を与え、その結果(利益)に責任を持つことで評価されるものなのだ」と久納氏は話す。例えとして「ビジネスレイヤーの人びとは(穴を開けるための)ドリルが欲しいのではなく、穴そのものを必要としている」(久納氏)という話が紹介された。
サービスマネジメントの新キーワード「VCA」
このようなギャップに対し、Tivoliは「VCA(Visibility、Control、Automation)」というキーワードでソリューション(解決)を提供していくという。
「わたし自身の経験から言っても、サービスマネジメントの改善に際しまず取り組むべきは可視化(Visibility)」と久納氏は話す。可視化という土台の上でコントロール(コンプライアンス、品質、コストなどの統合管理)や自動化(サービスの要件定義、構築、オペレーションなどのライフサイクルを自動化)が可能になってくるという。TivoliではサービスマネジメントのVCA化を支援するため、Service Delivery & Process Automation/Service Availability & Performance Management/Storage Management/Security, Risk & Compliance/Datacenter Transformation/Asset & Financial Management/Network & Service Assuranceといったプラットフォームのもとに、各コンポーネントを提供していく。
久納氏は、サービスマネジメントの手法は欧米から2、3年遅れて日本に伝わっているのが現状だと分析する。しかし「“トヨタのカイゼン”のように、日本発のマネジメント手法のある。トヨタのケースも、扱うもの(自動車か、ITサービスか)が異なるだけで、本質的には同じこと。日本はまだまだ、追いつける」と久納氏は話す。
Pulse 2008の開催リポートについては、日本IBMのwebサイトで掲載されている。Pulse 2009(開催日時などは未定)の予定も随時公開されるという。
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