フリーソフトウェアユーザーによるコミュニティー支援の方法:Beginner's Guide(2/2 ページ)
自分にはパッチ作成やバグフィックスの方法が分からない、そんな自分でも何かの役に立てるのだろうか? と思ったことはないだろうか。プログラマーでない人がFOSS開発への有意義な参加を果たす方法を簡潔にまとめた。
直接的なフィードバック
貢献のもう1つの方法が、プロジェクトに直接フィードバックを返すことだ。開発者は参考になる有益なフィードバックを求めている。彼らが本当に知りたいのは、自分たちのソフトウェアがどのように使われているか、またユーザーがどんな問題を抱え、どんな機能を求めているかである。不具合や機能についてのオープンな議論はFOSS開発の基本であり、プログラマー以外の人々が大きな影響力を発揮できる領域の1つだ。
プロジェクトの規模によっては、プログラムの作者にメールやフォーラムの投稿を届けるだけの簡単なバグトラッキングを行っているところもある。より大きなプロジェクトでは、Bugzillaのようなバグトラッキングソフトウェアを利用している。問題の原因になっていそうなプログラムの不具合についてWebで調べると、そうしたバグトラッキングシステムのサイトにたどり着くことが多い。KDE、GNOME、Ubuntu、Scribusなどについては、バグリポート記入用のページがすぐに見つかるだろう。大事なのは、既存のバグデータベースを検索して、同じバグがすでに報告されていないかを確認することだ。検索すれば、自分の遭遇したバグが修正済みでパッチが利用できるかどうかも分かる。一般に、大規模で利用頻度の高いプロジェクトほど、バグリポートが多い。
検索しても同様のバグに関する記録がなかった場合は、コミュニティーのガイドラインに目を通してバグリポートを提出する。例えば、Mozillaのバグ報告ガイドラインには、次のように記されている。
適切なリポートのあったバグは、ほぼ間違いなく修正されます。バグリポートの書き方については、以下のガイドラインを参照してください。
- 正確であること
- 明らか/明白/明りょうであること――ほかの人がバグを再現できるように書く
- 1つのリポートにバグは1件のみ
- どんなささいなバグも報告すること――小さなバグに大きなバグが隠れていることがある
- 事実と推論をはっきり分けて書くこと
バグを報告すると、問題の再現またはパッチのテストのために追加の作業を頼まれることがあるが、こうした機会をなるべく活用すること。トラブルシューティング、パッチのテスト、問題の修正について大いに学ぶところがあるだろう。ユーザーフォーラムへの参加と同じく、バグリポートの提出は自分のスキルを高めるとともに、ほかのユーザーにも寄与できる素晴らしい方法だ。
次なるステップ
Linuxについて多くを学ぶほど、より大きな貢献ができるようになる。あるアプリケーションに十分詳しくなったら、そのアプリケーションに関するWikiへの貢献や、ハウツー記事の執筆を検討するとよい。良質なドキュメント、とりわけユーザーの視点で書かれたものは、常に求められている。お気に入りのアプリケーションまたはディストリビューションでテスト用のダウンロードファイルが公開されたら、入手して積極的に不具合を探してみてほしい。さらに、プログラミングとスクリプト作成についても少し学んでみてはどうだろう。プログラマーでなくても、関数や変数の働きは十分に理解できる。また、こうした知識を身につければ、フォーラムへの投稿やバグリポートがより価値のあるものになる。
FOSSの開発は、開発者とユーザーの貢献に支えられている。Linuxがより使いやすく支持されるものになるにつれ、一般ユーザーが利用ソフトウェアのオンラインコミュニティーに参加して開発者に協力することがますます重要になってくる。
Drew Amesはペンシルバニア州ハリスバーグの輸送プランナー。
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