システム管理者向け軽量ディストリビューションの比較:Super Review(2/2 ページ)
軽量なシステム管理者向けディストリビューションを携帯することで、軽めのサーバトラブルはすべて解決できるだろう。ここでは、軽量級ながら緊急時に必要なツールの多くを備えたディストリビューションを4つ紹介しよう。
GParted Live
GParted Liveは、GPartedチームの手によるDebianベースのディストリビューションである。最新バージョンの0.3.7-7は2.6.24カーネルで動作し、サイズはわずか90Mバイト。ブートと実行にはライブCD版、USB版、またはPXE版を使用できるが、HDDへのインストールも可能だ。Pentium II以上、最低64Mバイト以上(推奨128Mバイト)のメモリを搭載したPCが必要とされる。
地味なブートメニューに並ぶ項目は、ほとんどがビデオ表示に関連するものだ。ほかのライブCD版システム管理者向けディストリビューションと同様に、Memtest86+がブートメニューの項目にある。Memtest86+を起動すると、使用するキーボードの種類を確認するメッセージが表示される。
グラフィカルデスクトップは簡素で、GPartedツールへのショートカットがある。ほかのディスク関連プログラムや編集ツールを実行するには、Fluxboxメニューを使う。Fluxboxメニューには、厳選されたツールだけが表示される。Vimとnano(テキスト編集)、GNU Midnight Commander(ファイル管理)、Partition Image(イメージ作成)、TestDisk(パーティーションリカバリ)、PhotoRec(ファイルリカバリ)などだ。Parted Magicと同様に、ほかのディスク関連ツールにはCLIでアクセスできる。充実したツールをそろえたGParted LiveはParted Magicと同等のファイルシステムをサポートし、ライブUSB作成用のショートカットもデスクトップに置かれている。ただし、Parted Magicとは違って、ネットワーク関連機能はない。つまり、インターネットブラウザ、pingやnetstatなどのコマンド、rsyncやGrsyncなどの機能はない。これらはネットワーク接続がないと動作しないからである。同様に、CD書き込みソフトウェアも含まれていない。
ネットワークがサポートされない、CDにデータを焼けないという点で、GPartedはローカルマシンでパーティーションを管理、操作するタスクに限定して設計されたものだ。データは復元できるが、そのデータを保存するにはローカルマシンに装着された別のHDDか外部ディスクが必要となる。
ディスクのパーティーション操作や関連タスクだけを行うなら、GParted Liveはシステム管理者と平均的なユーザーの両方にとって使いやすい。ただし、高いメモリ要件を満たせるなら、Parted Magicを使う方がよいだろう。
RIPLinuX
SliTazのデスクトップツールとParted Magicのディスク管理機能にさらに別のシステム管理者向けツールを足したものが欲しければ、RIPLinuXをお勧めする。“Recovery Is Possible Linux”を意味するRIPLinuXは、Slackwareベースのブート/バックアップ/レスキュー/保守用のディストリビューションだ。最新バージョン6.2は2.6.26カーネルで動作し、消費するディスク領域はわずか85Mバイト。ライブUSBへ手軽にインストールできるツールはないが、インターネットからガイドを入手できる。
RIPLinuXを使うには、最低でも256Mバイトのメモリが必要とされる。やや高い要件だが、Parted Magicほどではない。ブートメニューにはMemtest86+ユーティリティがあり、CLIまたはGUIのいずれかを選択してブートできる。Parted Magicなどのディストリビューションとは異なり、RIPLinuXには簡素なデスクトップインタフェースとFluxboxメニューがある。デスクトップを右クリックすると、使用できるすべてのオプションとプログラムのリストが表示される。
RIPLinuXがシステム管理者向けディストリビューションとして際立つ点は、使用できるプログラムの多さだ。ディスクツールとリカバリユーティリティはParted Magicよりも多く、グラフィカルプログラムはSystemRescueCdよりも多く、デスクトップアプリケーションはSliTazとほぼ同数。XMMS、Xine、QEMUもあり、ワイヤレスにも対応したネットワーク機能さえ備える。最新バージョンのFirefoxに加え、Linksなどの非グラフィカルブラウザも付属する。リモートデスクトップツールを使ってリモートのワークステーションにアクセスすることも可能だ。さまざまなテキストエディタ(Beaver、gVim、Leafpad)、ファイル管理ユーティリティ(PCManFM、EmelFM、GNU Midnight Commander)のほか、Parted Magicに含まれるすべてのユーティリティ(CD書き込みツールXfburn、アーカイブ表示/展開ツールXarchiver、ISOイメージ作成ツールISO Masterなど)もそろっている。Parted Magicと同じディスク/パーティーション用ツールに加え、G4L(ディスクイメージツール)、Enterprise Volume Management System(EVMS)などのディスクツールも提供する。Parted MagicやGParted Liveと同じように、サポートされるファイルシステムも多い。また、各ツールの使い方を説明するオフラインヘルプファイルもある。
さて、勝者は……
RIPLinuXを発見してからというものは、それまでのシステム管理者向けディストリビューションからRIPLinuXへ乗り換えて、今に至るまでずっと愛用中だ。たくさんのツールがユーザーフレンドリーなグラフィカル環境に整理されたRIPLinuXは、8センチCDに収まるサイズのシステム管理者向けディストリビューションとして最高のものだろう。ヘルプシステムもよく整備されており、技術に強くないユーザーでも簡単にツールを使いこなせる。ほどほどのメモリ要件とブートの安定性から、RIPLinuXはすべてのシステム管理者のツールボックスに追加されてしかるべきだろう。
RIPLinuXが総合的には勝者といえるが、ほかの3つのディストリビューションにもそれぞれの長所がある。Parted MagicとGParted Liveは、ディスクの管理/操作/リカバリに特化したディストリビューションだ。一方、SliTazはデスクトップアプリケーションに重点を置くが、ディスクの管理とリカバリの機能も備えている。覚えておいて欲しいのは、どのディストリビューションを選ぶにせよ、役に立つかどうかは、ツールの数にも左右されるがそれと同じぐらい、あなたの使い方しだいでもあるということだ。
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