外資系IT大手の日本法人トップ人事がもたらす意味:Weekly Memo(1/2 ページ)
先週、サン・マイクロシステムズの新社長が就任後、初めて記者会見。また、SAPジャパンの新社長が就任した。相次ぐ外資系IT大手の日本法人社長の交代は何を意味するのか。
日本法人の後任社長を探し始めたサン
「現在、私の後任となる日本法人社長を探している。日本法人の次のステージをリードしてくれる人がいたら、ぜひ紹介してほしい」
9月18日に戦略発表の記者会見を行ったサン・マイクロシステムズ日本法人のライオネル・リム社長は、質疑応答の中でこう発言した。リム社長は4月16日に、前社長の退任を受けて就任したばかりで、記者会見に姿を現すのはこの日が初めてだった。
それだけに、早くも幕引き宣言か、とも受け取れる発言だが、もともと米サン アジアパシフィック地域の業務執行責任者だったリム氏は、6月に同地域のプレジデントに昇格したことから、日本法人社長の兼務は暫定的な措置となったようだ。
とはいえ、リム氏は「私が日本法人の社長であろうとなかろうと、アジアパシフィック地域で最も市場規模の大きい日本を非常に重視している」と強調。記者会見では、今後日本法人として、オープンソースを活かしたソフトウェア事業の展開や、専任組織による顧客企業のWeb2.0化の推進、パートナービジネスの強化などに重点投資していくことを明言した。
ただ、日本法人を含めた米サンの業績は、昨年までは回復基調だったものの、今年に入ってから厳しい状態が続いている。直近の4-6月期決算の純利益は前年同期比73%減となり、7-9月期は赤字に転落する可能性もあるといわれている。主因は、大口顧客である金融機関などのIT投資が減少したため、主力の高性能サーバの売れ行きが不振に陥っているからだ。米国に端を発した金融不安の影響を大きく受けている格好だが、サンにとっては7月からが新年度。何とか盛り返したいという気概が、記者会見でのリム氏の語気からも伝わってきた。
そんなリム氏に、記者会見でこんな質問が飛んだ。
「サン日本法人の売り上げ規模は2000年前後、1800億円程度あったようだが、現在は700億円程度と推定される。なぜ、ここまで落ち込んでしまったのか。どうすれば成長路線に戻せると考えるか」
これに対し、リム氏はこう答えた。
「日本のように経済が成熟した地域では、次なるパラダイムに向けて停滞した状態が起こる。このため、サンも売り上げを落としているのは事実。ただし、私は日本市場がこれから躍動感を増すと確信している。その理由は、日本の多くの企業が、ビジネスにしてもマネジメントにしてもグローバル化を強く意識し始めたからだ。そうなれば、サンが貢献できる機会はどんどん増えてくる」
そして同氏はこの答えの最後に「Good question.」と付け加えた。この一言に、同氏の状況認識とタフネスぶりをうかがうことができた。
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