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高専プロコンを襲った魔物の正体とは高専プロコンリポート(1/2 ページ)

多くの高専生がその力をいかんなく発揮する高専プロコンが開催される季節となった。今年も独創的なアイデアを数多く披露する高専生たちだが、花形の競技部門には嵐がやってきたようだ。

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今年もプロコンの季節がやってきた


会場前には、昨年の津山大会以降、1年をかけて全国の高専を回ってきたマイクロソフトキャラバンカーの姿もあった

 10月11日から12日にかけて、福島県いわき市にあるいわき明星大学で「第19回全国高専プログラミングコンテスト」(高専プロコン)が開催された。高専プロコンは文部科学省の「生涯学習フェスティバル」(まなびピア)の一環として開催されている関係で、毎年別の場所で開催される。「掘り起こせ!未知なる能力(パワー)」をテーマに、ホスト校である福島工業高専は開催の準備を進めてきた。

 課題、自由、競技の3部門に分かれて競われる同大会だが、ここでは競技部門から取り上げる。競技部門はほかの部門と比べてエンターテインメント性を強く持ち、いわば花形の部門である。昨年の津山大会では「石垣工務店」と呼ばれるコンテストが観客を楽しませたが、今年もそれに負けず劣らずの勢いで、「フラっと収集車」と呼ぶコンテストを企画した。趣旨としては、複数のチームが同じマップ上でトラックに見立てたコマを動かしながら、少ないガソリン消費量で荷物をどれだけ積載できるかを競うというものだ。


マップのイメージ。このデータから最良の経路を割り出し、どの地点の荷物を積み込むのが最も燃料を消費せずにゴールできるかを考えればよい

 マス目上に区切られたマップには、スタートとゴールの地点のほか、荷物、障害物などが配置される。各チームはステップごとにトラックを移動させ、スタート地点からすべての荷物の場所を回り、戦略に応じて荷物を積載するかを決めながらゴール地点を目指す。最終的に、ゴール地点に到達したチームで、荷物1個当たりのガソリン消費量が少ないチームが一番順位がよくなるというルールとなっている。いわゆる巡回セールスマン問題(TSP)にみられる組み合わせ最適化問題と考えればよいだろう。


会場の様子

 TSPと異なり、ほかのチームの動きも考えなければならない点で問題としての深みがあり、それを実装してやろうと高専生たちはさまざまなアルゴリズムをした自慢のプログラムで今回の大会に挑んできた。

これも才能
今回の大会で、記者が最も秀作と感じた競技部門のプログラムがこれ。ほかのチームが比較的単純なユーザーインタフェースで済ませている中、無駄にUIを作り込んだこのプログラム。アルゴリズム自体の性能も高く、エキシビジョンでは高い成果を上げていた。「予想の逆を行くというマニュアル最適化も入っていますけどね(笑)」と話すのは、萌え系バイナリアンを生み出した津山高専に通う山下桂司氏

 しかし、この後、競技部門に参加した学生、そして会場にいた人物は絶望的な光景に遭遇することになった。

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