デベロッパーにフォーカスするSymbian

Symbianは解析ツール「Symbian Analysis Workbench」など、デベロッパー体験を向上させるための取り組みを発表した。

[Darryl K. Taft，eWEEK]

　Symbianにとってはデベロッパーがすべてだと、同団体の研究責任者は語る。

　Microsoftのスティーブ・バルマーCEOを思い起こさせるようなやり方で、Symbianの研究担当副社長デビッド・ウッド氏はこう語った。「Symbianプラットフォームを成功させる上で最も重要な3つの言葉は『デベロッパー、デベロッパー、デベロッパー』だ！」。ウッド氏はバルマー氏が有名にした呪文をまね、「心配しなくていい。このステージでいきなり踊り出したりはしない」と付け加えた。

　ウッド氏はロンドンのSymbian Smartphone Showで講演し、デベロッパー取り込みのためのSymbianのこれまでの、また今後の取り組みについて解説した。実際、同社はこのイベントで、デベロッパー体験の向上を目的とした幾つかの発表を行った。その1つとして、Symbian Analysis Workbench（SAW）を発表した。ウッド氏はこれを、「何が走っているかを確認できる、Carbide対応の新しい解析ツール」と説明している。

　Symbian関係者は、SAWは不具合を修正してコードを最適化する時間と労力を大幅に減らすことで開発を簡単かつ迅速にするとしている。SAWはEclipseをベースにしたプレパッケージツールで、Carbide C++開発環境に統合されたグラフィカルビューからSymbian C++ソフトを最適化することで、デベロッパーの作業を楽にするという。CarbideはNokiaが開発したツールセット。

　さらに、Symbian OS開発のための各種のツールやリソースを提供するオンラインフォーラムSymbian Developer Network（SDN++）では、Carbide.c++内からSAWをインストールできるようにするEclipseダウンロードサービスをホスティングする。ウッド氏の説明によると、SAWは統合型スイートにおいて解析、プロファイリング、ターゲット管理ツールを提供し、デベロッパーがイベント、リソース利用、システムの振る舞いを単一のワークスペースでトレースし、リポートを使ってソフトウェアの動作を理解できるようにする。

　Symbianのデベロッパー製品マーケティング担当副社長アントニー・エドワーズ氏は次のように語った。「優れたソフトウェアは高速である必要がある。SAWは、デベロッパーがSymbian OSとそれを搭載したハードのパフォーマンスメリットをフルに活用できるよう支援する。デベロッパーはCPUのスレッドのスケジューリング状況やメモリの割り当て状況、ほかのシステムリソースを確認できる」

　ウッド氏はまた、ARMとSymbianがSymbian端末上のアプリケーションを解析する「ARM Profiler for Symbian OS」を発表したことにも触れた。

　最近リリースされた「RealView Development Suite 4.0 Professional」の一部として、このARM Profilerは、Symbian OS上で動く携帯電話アプリケーションのデベロッパーが、強化機能を追加したり、消費電力を削減できるようにする。またデベロッパーは、実際のアプリケーションのパフォーマンスの即時フィードバックに基づき、幅広いパフォーマンス指標測定から素早くボトルネックを特定して、最適化の目標を迅速に、正確に定められると同社は説明している。

　「コンシューマーは携帯電話アプリケーションに最高のパフォーマンスと最小の消費電力を実現する高度な機能が載ると期待している」とSymbianのエコシステム開発担当副社長マイク・ウィッティンガム氏は語る。「複雑なモバイルアプリケーションのデベロッパーは、Symbian OSで見られるレベルの電源管理とパフォーマンス最適化を求めるようになっている。新しいARM Profilerは、デベロッパーがARM技術搭載の携帯電話でアプリケーションのパフォーマンスと電力効率を最大にできる解析環境を提供する」

　またウッド氏は、Symbianが同社のOSに取り組むデベロッパー向けの書籍を2冊発表したことを明らかにした。「Multimedia on Symbian OS - Inside the Convergence Device」「Common Design Patterns for Symbian OS -- The Foundations of Mobile Software」の2冊だ。