IDC、2009年のIT支出予測を下方修正――金融危機と消費支出減少が理由:厳しいながらも成長維持
調査会社IDCは、2009年のIT支出予測を下方修正した。金融危機が拡大し、ITおよびその他の製品/サービスに対する消費支出が減少し始めたことが理由だ。IDCの予測によると、米国では2009年のIT支出の伸び率が1%以下にとどまる見通しである。全世界でのIT支出の増加は3%以下になる見込みとなった。
金融危機が拡大し、クリスマス商戦が近づく中にあっても消費支出が減少するという状況を受け、IDCは2009年のIT支出の予測を下方修正した。特に大きな打撃を受けているのが、米国、西ヨーロッパ、そして日本である。
IDCは11月12日に公表した報告書の中で、2009年の全世界でのITハードウェア/ソフトウェア/サービスへの支出は前年比で2.6%の増加にとどまるとの予測を示した。
さらにIDCの報告書によると、米国、西ヨーロッパ、日本におけるIT支出の増加は1%以下になる見通しだ。これら3つの主要経済地域では、ウォール街をはじめとする株式市場での金融危機の処理に追われているからだ。米国ではIT支出の伸びはわずか0.9%にとどまる見通しで、これはIDCが8月時点に示した伸び率4.2%を大きく下回る。
これらはかなり重苦しい数字のようだが、IDCでは、ほんの数年前と比べると、IT業界は市場に変化に対する抵抗力が強くなっていると考えている。同社の予測がわずかながらも成長を示しているという事実は、ほとんどすべての企業においてITがいかに重要になったかを示すものである。
IDCのアナリスト、ジョン・ガンツ氏は報告書の中で、「既にITは多くの基幹業務に奥深く埋め込まれており、効率と生産性を向上する上で不可欠な要素となっている。このため、成長ペースは鈍化するものの、2009年もIT支出が引き続き増加するとIDCでは予想している」と記している。
しかしIDCでは、2012年までIT支出の伸び率が6%に戻らないとも予想している。当初予測と比べると、今後3年間でIT業界の売上高は3000億ドル以上も減少することになる。
IT支出予測を下方修正したのはIDCだけではない。GartnerとForrester Researchは9月、長引く金融危機を受け、IT支出の鈍化を示す新たな報告書をそれぞれ作成した。GartnerとForresterはいずれも、2009年のIT支出の成長予測を約2%に下方修正した。
今月中にはIT業界の景気指標となる2社の決算報告が予定されており、金融危機が経済全体に与えている影響がもう少しはっきり見えてくるものと思われる。Dellは11月20日に、Hewlett-Packardは11月24日に四半期決算を発表する予定だ。
既にDellは、厳しい世界経済の状況を受け、追加的なコスト削減策の検討を開始したことを明らかにしている。同社のマイケル・デルCEOは11月3日、社内ブログで、従業員に無給休暇を取るよう求めた。さらにデル氏は、同社がさまざまなプロジェクトで利用している外部企業の数を減らすなど、追加的なコスト削減策を検討中であると記している。
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