MS、きめ細かな価格設定でGoogle Appsの低価格に対抗:月額か、年額か(2/2 ページ)
Microsoftは、Googleが企業向けメッセージング/コラボレーションアプリケーションのGAPEで採用している包括的な料金設定よりも、Microsoft Online Servicesのきめ細かな価格設定の方が優れていると考えている。価格的にはGAPEの方が安いが、ユーザーが必要な機能だけを選べるというのがMicrosoftの訴求点だ。
Microsoft Online Servicesでいくか、Google Appsでいくか
Microsoftが指摘するような状況に置かれている企業もある。例えば、Serena SoftwareはGAPEを契約しているが、同社が従業員に対して使用を義務付けているGoogle Appsは、GmailとPostiniだけである。DocsやSitesなどのアプリケーションの利用は、Serenaの従業員の裁量に任せられている。
eWEEKでは、きめ細かな価格モデルという価値提案に関するカポセラ氏のコメントについてGoogleに意見を求めたところ、同社の広報担当者は次のように答えた。
「われわれは1ユーザー当たり月額4.17ドルという価格設定により、企業がAppsスイートに含まれる1つあるいはすべての製品を手軽かつ安価に利用できるようにした。われわれの経験では、多くの企業は少数のアプリケーションからスタートし、その後で、従業員がSitesやVideoなどを使って業務を効率化する方法を見つけるのにしたがって、これらのアプリケーションも採用するようになる。それでも、われわれは常に顧客の声に耳を傾け、彼らのフィードバックを製品に反映させるようにしている」
つまり、GoogleはGAPEの包括的な価格設定が良くないと認めてはないものの、将来的にきめ細かな価格設定を採用する可能性は否定していないのである。カポセラ氏のコメントは、そういった価格設定のメリットをGoogleに教えることになるかもしれない。例えば、Google Docsを1ユーザーに付き年額25ドルで提供するといった具合だ。これは、SharePoint Onlineに代わる選択肢として同スイートの価値を高めることになるだろう。eWEEKでは、業界アナリストに対して、どちらのSaaS製品の価格モデルが優れているか質問した。
Radicati Groupのサラ・ラディカティ氏は「全般的に、Google Appsの方がExchange OnlineおよびSharePoint Onlineよりも安価だが、多くの企業はOutlookなどのMicrosoft製品を使い慣れている」と指摘する。
こういった企業では、同じインタフェースを維持するためには、割高な価格でも支払うだろう。また、クラウド方式は、企業が自社のハードウェア上でソフトウェアを運用するよりも、アプリケーションの維持費用が少なくて済むことを意味する。ラディカティ氏は次のように結論付ける。
「これは基本的に大きな市場であり、Google Appsは価格に敏感な多くのコンシューマーに訴求するだろうが、その一方で、価格だけを重視するのではなく、従来と同じ機能をより低い運用コストで利用できることに主眼を置いているユーザーも非常に多い」
一方、Forresterのクリス・ボース氏は、MicrosoftとGoogleのSaaS型プロダクティビティ/コラボレーション製品のどちらにするか決めかねている企業にアドバイスしている。
ボース氏によると、電子メールはバックアップやアーカイビングなどの業務アプリケーションと緊密に連携しているケースが多いため、自社の業務のニーズに最も適したメッセージングアプリケーションを提供しているベンダーを選ぶのがベストだという。つまり、Exchangeを使っている企業であれば、Google SitesやDocsを利用するよりも、SharePointとOffice LiveMeetingを選ぶ方がよいということだ。
MicrosoftはSaaSにきめ細かな価格モデルを持ち込んだかもしれないが、ボース氏の論理に従うならば、MicrosoftのOnline ServicesからGoogle Appsに乗り換える必要はないということになる。どちらか一方を選んだら、その選択を貫くことが大切なのである。
1ユーザーに付き年額50ドルのGAPEか、それともMicrosoftのきめ細かな価格スキームか――あなたの好みに合うのはどちらだろうか。
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