欧州FLOSS団体、FLOSSロードマップを発表──2020年にはメインストリームに
Open World Forumは、2020年にFLOSSが開発ツールや一部の組み込みアプリケーションなどのデファクトスタンダードになると予測したロードマップを発表した。
フランスを拠点とする欧州ベースのFLOSS(Free/Libre and Open Source Software)推進団体、Open World Forumはフランス時間の12月3日、FLOSSの今後の動向を予測した調査書「2020 FLOSS Roadmap」を発表した。FLOSSは2012年にはソフトウェア・ITサービス市場の30%を占める規模に成長し、12年後の2020年にはメインストリーム技術になるという。
Open World Forumは、仏Bullなどの欧州IT企業や米IBM、米Googleなどの企業、Apache Software Foundation、Eclipse Foundationなどの団体、教育機関などが参加するFLOSS推進フォーラム。2020 FLOSS Roadmapは同団体の主な活動で、今後の技術トレンドとFLOSSの動向を予測したもの。
調査書では、2020年のFLOSSの予測として、「FLOSSはデジタルデバイド縮小に貢献する」「FLOSSはメインストリームになる」「FLOSSコミュニティーはビジネスエコシステムの手段となる」「クラウドコンピューティングはユビキタスに」「IT業界は環境への取り組みの最前線となる」「FLOSSは大企業ITの戦略的ツールになる」「IT雇用の40%はFLOSS関連」の7つを挙げている。
「FLOSSはメインストリームになる」は、FLOSSがインフラ、開発ツール、学術コンピューティング、一部の組み込みアプリケーションのデファクトスタンダードになるというもの。ほとんどのITドメインでFLOSSコミュニティーが形成され、ソフトウェアベンダーは自社でオープンソースに関する取り組みを展開すると予測している。また、業界全体での投資とリソース共有により、研究開発コストと電力消費を抑えられるとしている。
成功への8つの助言としては、「透明性があり自然な法環境の整備」「戦略的技術・サービス分野でのFLOSS投資」「FLOSSのスキル開発と雇用促進」「オープン標準を土台としたオープンプラットフォームの形成」「イノベーションとビジネスでオープンを標準に」「FLOSSの採用と利用を促進」「FLOSSユーザーにプロジェクトへの貢献を奨励」「FLOSSコミュニティー間の協力関係の確立」を挙げている。
Open World Forumでは、これをたたき台としてディスカッションを行う。ディスカッションや意見を得て、このロードマップを適宜修正していくという。
編集者の一言
さまざまな場所でさまざまな方が語っている内容をきれいにまとめた感じの調査報告書で、イメージとしてはLinux FoundationがLinuxカーネルの動向を知る必要のある開発者や組織にその見通しを知らせることを目的に提供している「Linux Weather Forecast」の拡大版といったところです。予測の方はともかく、8つの助言の中には「FLOSSユーザーにプロジェクトへの貢献を奨励」とあり、業務外作業としてプロジェクトへ参加している方の立場が今後変わっていく可能性を示唆しているのが興味深いところです。
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