USBメモリで広がるウイルスの脅威――感染からPCを守る方法:ハギーが解説 目からウロコの情報セキュリティ事情(2/2 ページ)
USBメモリなどを介して感染するウイルスの被害が急増中だ。手軽に持ち運べる利便性から普及したが、それを逆手に取って感染が拡大する。USBメモリウイルスからシステムを守る方法を紹介しよう。
新製品やUSBメモリ以外にも……
USBメモリに感染するウイルスは、USBメモリに限らずSDカードや外付かHDDなどのさまざま機器にも感染します。注意点として紹介した「出所不明の機器を使わない」だけでなく、購入したばかりの新品ですら気をつける必要があります。トレンドマイクロの調べでは、2007年に外付けHDDとポータブルフォトビューワー、2008年はデジタルフォトフレームとICレコーダー、サーバー用USBメモリなどにもウイルス感染が見つかりました。
新品のUSBメモリでも2007年10月バッファロー製の製品に製造段階でウイルスが混入しました。直近では11月末に日本ビクターが配布した販促用のストラップ型USBメモリにもウイルス混入していました。
このように、USBメモリを利用するには徹底して注意しなくてはならず、極めて危険な環境にあると思われます。今年9月にはVisa/Master Cardからの案内を装ったフィッシングメールが出回りましたが、実はUSBメモリウイルスの拡散を狙ったものであると業界関係者が注意を呼びかけました。被害に遭った人の中には悲惨な状況に陥ったという人もいるそうです。「自分は関係ない」と思わずに常に注意すべきでしょう。最近では会社でデータを運ぶのに利用していたUSBメモリが感染したケースも聞きています。
トレンドマイクロは、10月にUSBメモリに組み込んで感染を阻止するウイルス対策モジュールを発表しました。これはデータが書き込まれる際にウイルスの活動を監視して、ウイルスが検出された場合はユーザーに警告を出してウイルスを隔離します。同様にこの種のウイルスに対処できないPCでもUSBメモリを安全に利用できることを目指した製品も現れました。読者のみなさんも「自分の身は自分で守る」というつもりで、利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
萩原栄幸
株式会社ピーシーキッド上席研究員、一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、日本セキュリティ・マネジメント学会理事、ネット情報セキュリティ研究会技術調査部長、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、情報セキュリティに悩む個人や企業からの相談を受ける「情報セキュリティ110番」を運営。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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