JCS、NVIDIA Teslaを搭載したGPUコンピュータを発表――HPC分野の要求に応え
JCSはNVIDIAのTesla C1060/Tesla S1070を搭載したGPUコンピュータを発表。パーソナルスーパーコンピュータ、そしてGPUを多数搭載した大規模クラスタシステムなどの用途に応える。
日本コンピューティングシステム(JCS)は12月12日、NVIDIA Tesla 10シリーズを搭載したGPUコンピュータを発表。12月15日より販売開始する。
GPU(Graphics Processing Unit)コンピューティングとは、従来3Dグラフィックス演算などの画像処理に利用されていたGPUを、汎用数値計算に応用するソリューション。汎用的な処理を行う前提で進化したCPUとは異なり、GPUは画像処理に特化して進化を遂げ、多数のストリーミングプロセッサを備えている(例えばNVIDIA Tesla 10シリーズの場合、合計240個のストリーミングプロセッサを持つ)。その結果、一般的にGPUは並列演算時の性能において、CPUよりも高い処理能力を有する。
とはいえ従来型のGPUは搭載メモリが少なく、演算の種類によってはPCI-Expressで接続されたホスト側のメモリを併用せねばならなかった。結果としてメモリバンド幅がボトルネックになっていたが、NVIDIA Tesla 10シリーズはGPUボード上に102GB/sで接続した4ギガバイトメモリを搭載し、この問題の解決を図った。
JCSが提供するGPUコンピュータは2機種。PCI-ExpressタイプのTesla C1060を1基から最大3基搭載し、タワー型、ラックマウント型を選択できる「Vintage GLXS-GP1060」と、1Uラックマウント型ユニットのTesla S1070とJCSのラックマウントサーバを組み合わせた「Vintage VCSC-GP1070」になる。GP1060は、CPU/メモリ/ストレージ容量をカスタマイズ可能。またGP1070は、冷却効率を高めたJCSのスーパーコンピュータ専用筐体に格納できる。
JCSが提供するGPUコンピュータには、「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」がバンドルされる。「CUDA」はC言語など標準のプログラミング言語に慣れたプログラマー向けの統合開発環境。最新のCUDA対応ドライバ/コンパイラ/数値演算ライブラリ一式がプリインストールされ、迅速に並列アプリケーションの開発に着手できるという。
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