アイルランド政府が国内ハイテク企業との連携支援:ITや電機、バイオなど
アイルランドのブライアン・カウワン首相が来日し、ITやエレクトロニクス、バイオなどの国内ハイテク企業とアイルランド企業との協業推進などを訴えた。
アイルランド政府は1月14日、都内で同国企業と国内ハイテク企業との協業推進などを目的とした記者説明会を開催。来日したブライアン・カウワン首相は、研究・リサーチやグローバルサービス、技術革新などの分野で連携強化を求めた。
政府産業開発庁によると、同国には約1000社の海外企業が進出し、日系企業ではアルプス電機や富士通、オリンパス、アステラス製薬、トレンドマイクロ、大和証券など約40社が進出している。2007年の対日貿易額は約482億円になるという。
製造やIT、医療などのハイテク企業や金融サービスなどの企業が多く、特に研究分野へ年間280億ユーロの投資がある。最近ではソニーと東芝、米IBMが共同開発する「Cell」プロセッサの研究施設にダブリン市内のトリニティ大学を選定されたほか、アルプス電気はEU圏向け車載用電子部品の製造拠点を開設している。
IT関連企業では、IBMやIntel、Microsoft、Cisco Systems、SAPなどが進出。IBMはクラウドコンピューティングの研究施設を保有しており、Microsoftは欧州最大のデータセンターを開設する。
カウワン首相は、「国内にはベンチャー精神や革新に強い意欲を持つ企業が多く、日系企業との強いパートナーシップを築くことで世界規模でのビジネスを成功に導く将来性を持っている」と紹介した。
併せて、同国企業と国内企業の提携強化案件が複数発表された。アルプス電気はレザー半導体開発のFirecommsと350万ユーロ規模の製品供給で提携するほか、全日空は2009年に就航予定の新型航空機「B787」の座席部品を素材メーカーBotanyから調達する。トレンドマイクロは欧州・中東・アフリカ(EMEA)事業の運営を同国に集約し、新たに100人を増員する。オンラインコミュニティのガーラは、欧州向けサービスのホスティング事業などを拡充するという。
トレンドマイクロの長谷川文男監査役は、「多言語に通じた優秀な人材を採用できるメリットがあり、EMEA事業のオペレーションとサポートサービスを集約する。将来はリージョナルトレンドラボ(マルウェア解析センター)の開設も考えたい」と話した。
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