KDDIが新サービス、モバイルを中核とするITベンダーへ:日本IBMもユーザーに
KDDIは、企業向け内線サービスと新端末、アプリケーションフレームワークを発表。法人市場では、通信事業者の枠の留まらないITベンダーとしての存在を目指すと表明した。
KDDIは1月21日、法人向け内線通話サービス「ビジネスコールダイレクト」の詳細と新端末、アプリケーションフレームワーク「.net by au」を発表。これらを法人向けソリューションの中核に据え、通信事業者の枠を超えた事業展開を目指すと表明した。
2008年9月に発表したビジネスコールダイレクトは、事前登録したグループ内での内線番号通話が固定電話機や携帯電話を問わず定額になるサービス。サービス開始日は4月15日で、1グループ当たりの費用は、初期登録料が1万500円(別途、番号登録費1050円/1台が必要)、月額基本料が2100円。このほか、同サービス専用の月額基本料金がau携帯電話や固定回線ごとに必要となる。最初ユーザーとして、日本IBMと新日本有限監査法人が4月からの導入を決めた。
同サービスでは既設のPBXを活用できるのも特徴。対応PBXメーカーは、岩崎通信機、インフォーエス、NECインフロンティア、OKIネットワークス、サクサ、シスコシステムズ、スカイウェイブ、東芝、ナカヨ通信機、日本アバイア、NEC、ネクストジェン、パナソニック コミュニケーションズ、日立コミュニケーションテクノロジー、富士通となる。KDDIではIP-PBXの導入支援サービスも計画している。
新端末では、シャープ製の法人向けモデル「E05SH」「E06SH」を発表。両機種ともIPX5/7準拠の防水機能や指紋認証、セキュリティ管理機能、au向けのMicrosoft Outlook、ドキュメントスキャナ機能などを搭載する。
これらの共通仕様とは別に、E05SHではSDIOカードスロットを搭載し、夏ごろに発売する構内PHSもしくは無線LANのSDIOカードを端末に挿入することで、内線端末として利用できる。E06SHでは、二次元コード対応のバーコードスキャナを搭載し、商品管理業務などのハンディ端末として利用できる。発売時期はE05SHが4月、E06SHが夏ごろを予定。E05SHでは一般企業を含む内線利用ニーズに、E06SHは流通や小売、保守メンテナンス業界での業務ニーズにそれぞれ対応するという。
.net by auは、Microsoft .NETのサブセットとして提供され、BERW上で.NET対応アプリケーションを実行できるようにしたもの。開発環境はVisual Studio 2008で、既存のWindowsアプリケーションをau携帯電話へ移植しやすくするのが狙いだという。
同社では、Windows Mobile OSを搭載するスマートフォン「E30HT」を3月末までに発売するため、BREWベース端末とスマートフォンの双方でWindowsアプリケーションへの対応を図る。「一般的な10キー端末が良いか、フルキーのスマートフォンが良いか、顧客企業の選択肢を広げるもの」(モバイル商品企画部長の中島昭浩氏)という。仕様詳細は3月に発表する。
キャリアの枠を超えたITベンダーへ
FMC事業推進本部の山本泰英本部長は、発表したサービスなどが今後の法人事業の主力商品の一部になるとし、既存の広域イーサネットやVPNなどの企業向けネットワークサービス、データセンターサービス、SaaSプラットフォーム事業を含めて、法人向けソリューションをワンストップで提供する存在になると表明した。
「従来は案件ごとに顧客が選択したサービスごとにわれわれが仕組みを提供していた。今後は、われわれが顧客の先に立ってニーズに対応するコンサルティングからシステム構築、導入・運用までのフェーズに関わり、すべてのサービスを顧客に提供していく」(山本氏)
具体的には、端末からネットワークインフラ、アプリケーション提供基盤、顧客企業の管理者支援までを同社が窓口となって対応するものになるという。中島氏は、「端的に言えば、従来は契約回線数を増やすことが目的だったが、今後はソリューションサービスによる顧客との関係強化が目的になる」と説明した。
現在、同社では約800人のシステムエンジニアを確保しているが、今後は大手企業から中堅・中小企業へ顧客カバレッジを広げるため、さらなる増員やシステムサービスベンダーとの協業拡大などを図っていくという。
山本氏は、「4月にある程度の法人向けサービスの全体像をお見せできるだろう。通信サービスだけに限定せず、ITインフラを広範にカバーする存在を目指す」と話している。
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