2008年はITプロの年収が増加、不安要因は雇用保障など:新興地域では大幅増
Diceの最近の調査によると、昨年はIT従事者の給与が4.6%上昇し、平均年収は7万8035ドルだった。しかし、雇用保障をめぐる不安、昇給の鈍化、スキルの維持、プロジェクトの中止などが、今年もITプロフェッショナルにとって主要な懸念になることが調査で明らかになった。
Diceによる最近の調査結果で、IT従事者の平均年収は2008年に4.6%増加したが、最新のITスキルの維持や雇用保障をめぐる不安が2009年の主な懸念事項になりそうだ。
Diceが1月21日にリリースした「2008-09 Annual Salary Survey」(年収調査/2008〜2009)によると、2008年のITプロフェッショナルの平均年収は7万8035ドルで、2007年と比べて4%以上の増加となった。米国の景気後退はウォール街を直撃したが、銀行/保険/金融サービス業界で働くITプロフェッショナルの場合、平均年収が5%以上増加して8万7257ドルになった。
Diceの調査結果は、1万9000人余りのITワーカーからの回答に基づくもので、2008年8月〜11月にかけて聞き取り調査が行われた。詳細な調査結果は、DiceのWebサイトに掲載されている。
ITプロフェッショナルの年収は増加したものの、彼らの多くは2009年に向けてさまざまな問題に対して不安を感じていた。22%の回答者が自己のスキルを最新状態に維持することに不安を抱き、20%がレイオフを心配していると答えた。
IT業界をめぐるそのほかの懸念としては、2009年の昇給の鈍化(14%)、プロジェクトの中止(12%)、人員削減に伴う業務負担の増大(10%)などが挙げられた。またDiceによると、2008年10〜12月期に同社のサイトに登録された新規の履歴書の数は67%増加したが、米国の景気後退をめぐる懸念が広がる中、大半のITプロフェッショナルは「受動的」な求職活動を行っているという。
Diceの調査には、1月初めから広がった不安の波の影響は反映されていない。Microsoft、Oracle、Advanced Micro Devices、ソニー、Ericssonといった世界最大手のIT企業数社が1月、レイオフなどのコスト削減策を発表したのだ。これにより、何千人ものITプロフェッショナルが影響を受ける可能性がある。
さらにIntelは先週、5カ所の生産施設を閉鎖し、全世界で5000〜6000人の人員を削減すると発表した。
Diceの報告書は暗い内容ばかりではなかった。
2008年に最も多く稼いだのはITマネジメントという肩書きを持ったプロフェッショナルで、平均年収は11万1998ドルだった。最も低いのは、システム管理者という肩書きの人々で、平均年収は7万307ドルだった。
この調査では、ニューヨーク、シリコンバレー、ワシントンD.C.といった主要なIT中心地での給与も増加したが、新興IT地域で働く人々の給与が大幅に上昇したことが明らかになった。例えば、ノースカロライナ州シャーロットのITワーカーの平均年収は2008年、14.7%増の8万1426ドルになったほか、ミズーリ州セントルイスのITプロフェッショナルの平均年収は12.5%増加して7万2819ドルになった。
また、女性のITプロフェッショナル全体の平均年収は男性よりも12%低いことが調査で示された。しかし経験、教育、肩書きなどを考慮に入れた上で女性ITプロフェッショナルと対応する男性プロフェッショナルを直接比較した場合、「ジェンダーギャップ」は存在しなかった。
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