企業ユーザーを引き付けるGoogle Apps:1000万ユーザー超に
2008年夏にGmailとGoogle Appsのサービス障害が起きたことで、Webベースのアプリケーションは企業で使えるのかと疑問視するアナリストもいたが、最近のリポートによると、100万社を超える企業で1000万人以上のユーザーがGoogle Appsを利用している。
2008年8月、Google GmailとGoogle Appsでサービス障害が発生し、電子メールとアプリケーションが利用不能になったことに対して、企業ユーザーから厳しい批判が浴びせられた。
これを機に、GoogleのWebベースアプリケーションを企業の基盤とするのは、「果たして現実的なのか」という疑問の声が上がった。しかし、Technology Business Research(TBR)が1月30日に公表したリポートによると、100万社を超える企業で1000万人以上のユーザー(教育機関の300万人のアクティブユーザーを含む)が、エンタープライズソフトウェアとしてGoogle Appsを採用している。
「これはGoogle Appsオフィススイートとコミュニケーションツールが、着実にSMB(中堅・中小企業)ユーザーを獲得していることを示すものだ」とTBRのリポートは記している。
Googleの広報担当者、アンドリュー・コバックス氏は「現時点で毎日3000社以上の企業がGoogle Appsに登録している。1年前は1日当たり2000社だった。現在の経済状況もわれわれに追い風になっている。企業は経費節減志向を強めており、Googleはそれを容易に実現する手段であるからだ」と語る。
「Google Appsの有償版が2007年2月にリリースされたとき、これをいち早く採用したのがSMBだ」とコバックス氏は付け加える。2008年下半期には、Genentechなどの大手企業も同プラットフォームを全社レベルで採用するようになったという。
Googleは今年1月、SMB市場でのGoogle Appsの販売促進を狙ったリセラープログラムを開始した。Googleの昨年10〜12月期の利益は7〜9月期と比べて68%という大幅に落ち込んだが、売上高は前年同期比で18.1%の増加となった。
「小さな企業を立ち上げる人々にとっては、サーバを構築するよりもGoogle Appsを利用する方が簡単だ」とIDCのアナリスト、アブナー・ジャーマノー氏は指摘する。「どんなシステムでもダウンタイムはあってはならないことだが、小規模企業の場合、1時間程度のダウンタイムは必ずしも命取りにはならない」(同氏)
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