Vistaにすべきか、Windows 7を待つべきか――移行に悩むユーザーへ:MSがアドバイス
Microsoftは、Windows VistaやWindows 7への移行を検討している企業を対象に詳細なガイダンスを公開した。Windows 7にいつ移行すべきかという問題をめぐって、ユーザーの間で生じている混乱を解消するのが基本的な狙いだ。
Microsoftは、Windows VistaやWindows 7への移行を検討している企業を対象として詳細なガイダンスを発行した。
Windowsクライアント部門の製品管理担当シニアディレクターを務めるガブリエラ・シュースター氏は、同社の「Windows for your business Blog」への最近の投稿記事の中で、Windows VistaおよびWindows 7への移行問題に企業はどう対処すべきかについてMicrosoftの見解を示したガイダンスを公開した。この指針は、企業が現在運用しているプラットフォームと全般的な移行目標に分類して記述されている。Windows 7にいつ移行すべきかという問題をめぐってユーザーの間で生じている混乱を解消するのが、Microsoftの基本的な狙いだ。
「第1段階として、どのOSを導入すべきかを判断するための手掛かりを得るために、自社の環境を評価することをお勧めする」とシュースター氏は述べている。同氏によると、ユーザーは現在のエンタープライズ環境で何本のアプリケーションを管理しているかを把握するために、インベントリを作成する必要があるという。次に、アプリケーションベンダーに問い合わせ、それぞれのアプリケーションについて、Windows XP上での動作をいつまでサポートし、Windows 7にいつ対応する予定なのかを確認するようアドバイスしている。
「これは、Windows XPからWindows 7に移行するまでに最大でどれくらいの猶予期間があるのかを判断する手掛かりになる」とシュースター氏は記している。「次に、利用中のアプリケーションとWindows 7との間の互換性レベルを評価する必要がある(アプリケーションの動作をWindows Vista上でテストすることを推奨する。Windows 7とWindows Vistaの間には高い互換性が存在するからだ)。この作業により、新しいOS環境に対応するには、何本のアプリケーションをアップグレード、修正、あるいは交換する必要があるのか判断できるようになる」(同氏)
Windows 7β版でのアプリケーションの動作をテストするユーザーに対して、シュースター氏は、同OSを本格的に配備するに当たっては、RTM(製造工程向けリリース)の段階でもアプリケーションをテストすることを推奨している。
さらにシュースター氏によると、ユーザーは自社環境におけるハードウェアの対応状況も評価し、新OSの導入に要する12〜18カ月の間にその状況がどう変わるか検討する必要があるとしている。
ユーザーが何を選択するにせよ、「最初にすべきことは、MDOP(Microsoft Desktop Optimization Pack)を配備することだ。これはWindows 7とVistaのどちらに移行する場合にも必要だ」とシュースター氏は記している。
さらに同氏は、「現在利用しているOSに応じて、自社のビジネスに合った正しい決定をすることが重要だ」と述べる。
例えば、「社内でWindows 2000を運用しているのであれば、できるだけ早くWindows 2000ベースのPCをWindows Vistaに移行すべきである。Windows 2000の延長サポートが2010年4〜6月期に終了するため、自社の重要なアプリケーションがもうすぐサポートされなくなる恐れがあるからだ」と同氏は指摘する。
しかし、「Windows Vistaへの移行準備中あるいは移行中の企業であれば、Windows Vista SP1の導入を継続すべきである。Windows Vistaの移行を開始したばかりの企業の場合は、Windows Vista SP2のテストと導入を計画すべきである(SP2は2010年4〜6月期にRTMの予定)。Windows VistaとWindows 7の互換性が高いため、現時点でWindows Vistaに移行すれば、将来はWindows 7へ容易に移行できる」(同氏)
Windows XPを利用しており、次にどのOSに移行するか迷っているユーザーに対しては、「Windows Vistaを省略するリスクを考慮に入れること。現時点でWindows Vistaを導入すれば、将来的にWindows 7への移行が容易になるということを忘れないでいただきたい」とシュースター氏は語る。
「現在、Windows XPを利用しており、Windows 7が登場するまで待つつもりであれば、Windows Vistaを省略するリスクを考慮した上で、現在利用可能なβ版を使い、自社環境でのWindows 7の早期評価の準備をするといい。Windows VistaとWindows 7の互換性が高いため、Windows Vista上でアプリケーションのテストおよび修正を行えば、Windows 7の導入が容易になる」
しかし、Windows XPからWindows 7に直接移行する時期まで待つつもりだというユーザーに対して「そういった企業では、アプリケーションがWindows XP上でサポートされなくなり、Windows 7でもまだサポートされないという状況に直面する可能性がある」とシュースター氏は警告する。
シュースター氏はさらに、Windows 7に直接移行するというXPユーザーについて、ブログ記事で次のように述べている。
「どんな新OSでもそうだが、Windows 7の場合も、導入に先立って自社環境で時間をかけて評価する必要がある。Windows 7はWindows Vistaから約3年後にリリースされる予定であるため、多くの企業の場合、自社環境にWindows 7を導入するまで待つ合計期間は、Windows Vistaのリリースから5年後といったレンジになるだろう」
シュースター氏によると、同氏の記事で述べたMicrosoftのガイダンスに関連した指摘の多くは、同氏がこの1〜2カ月の間にMicrosoftの顧客から聞いた話に基づくものだという。
「“まだVistaを導入している最中なのに、MicrosoftはWindows 7β版を出してきた。われわれはどうしたらいいのか?”と人々は言っている」とシュースター氏はeWEEKの取材で語った。
同氏が話を聞いたCIO(最高情報責任者)たちは、この経済情勢の中でIT部門の経費削減に務める一方で、ITのコンシューマー化というプレッシャーの増大に対処しているという。「Windows VistaとWindows 7、そしてMDOPは、CIOがこの2つの課題に対処するのに役立つ」と同氏は話す。またWindows Vistaでは、リリース直後に現れた問題が既に解消されているという。
さらにシュースター氏によると、「MicrosoftがVistaに投資したのは無駄ではなかったのか」と質問する人もいるという。
「Vistaへの投資は無駄ではなかった。われわれはVistaをベースとしてWindows 7を開発した。VistaはWindows Millennium(Windows Me)とは違う」とシュースター氏は話す。Microsoftは基本的にMillennium技術を放棄し、Windows XPに移行したという経緯がある。「Windows VistaとWindows 7が混在する環境を運用するのも容易だ」(同氏)
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