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「コスト削減時代」に企業が本当にすべきことGartner Column(2/4 ページ)

未曾有の不景気によって、経営に自信を失う経営者が増えています。コスト削減という名目のもと、支出を減らそうとする企業も見受けられますが、それが正しい経営方針といえるのでしょうか。この時代にCIOやIT部門が着手すべきことについて、ガートナーが実施した調査を基に考察します。

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世界と日本、優先課題の差は?

 表2は、「全世界・全業種」対「日本・全業種」を示したものです。目立った差異としては、全世界では1位だった「ビジネスプロセスの改善」が、日本では4位になっています。2008年はこの項目が日本でも1位でしたが、今年は大きく順位を落としました。

ビジネス面での優先事項
表2:ビジネス面での優先事項(出典:ガートナー)

 日本では、全世界に比べて「ビジネスプロセスの改善」の優先順位が年々上昇していました。しかし、2009年の1位は「既存顧客との関係を強化する」です。全世界では9位の項目を、日本では最優先すべき事項ととらえているのです。

 世界と日本のCIOとでは多少の温度差があるのは分かっていましたが、この結果には驚きました。そこでアンケートに回答した数人に再度インタビューを実施し、結果を分析しました。そこから得られた洞察は、日本企業は平成大不況といわれた「失われた10年」を経験しており、その際に企業の生きのびる術が「既存顧客を逃がさないこと」だったと経験的に分かっているため、今回の不況も同様に考えているのではないか――ということでした。

 日本全体の産業構造は今、転換を迫られています。ですが今回の不況から立ち直るために、「まずは、今のお客様を逃さないこと」を最優先に掲げているようでは、先が思いやられてしまいます。

 先日の衆議院選挙では、民主党が大勝利を収めました。これは「今までの国政の延長線上には将来が見えない」と考えた国民の総意が反映されたととらえられるでしょう。企業経営にもこれと同じことが起きていると考えられないでしょうか。

 「既存顧客を逃さないこと」だけにしがみつく企業が、果たして勝ち残れるでしょうか。言い換えれば、付き合いがある企業とのやり取りを止めないままで将来が見えるのか、ということです。「既存顧客に見捨てられないように、変化に合わせて変革を起こしていく」と考えた上でのこの結果なら安心なのですが。

 日本特有の結果に対して、ガートナーの外国人アナリストは「このような考え方はCIOではなく、CEOやCOOが考えることだ」と指摘しました。世界では、CIOは企業を変革する戦術的アプローチである「ビジネスプロセスの改善」に焦点を当てるのが普通だという意見でした。

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